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膀胱洗浄手順を看護師向けに解説|2026年版・適応から感染予防まで

藤堂 遥 藤堂 遥 • 更新: • 公開: • 読了約 20 分
目次

膀胱洗浄とは、尿道留置カテーテルなどを介して膀胱内に洗浄液を注入し、血液や凝血塊などを排出して尿路の通過性を保つ医療処置です。看護現場では、経尿道的手術後の血尿や血塊によるカテーテル閉塞が懸念される患者などに実施されます。ただし、尿が混濁しているという理由だけで洗浄を行ったり、感染予防を目的に毎日繰り返したりする処置ではありません。

2026年時点で参照すべき国内の基準として、日本泌尿器科学会の「尿路管理を含む泌尿器科領域における感染制御ガイドライン(改訂第2版)」があります。同ガイドラインは2021年8月10日発行で、膀胱洗浄に関するCQ3では、閉塞が予測される場合の閉鎖式持続膀胱洗浄、滅菌生理食塩水の使用、無菌手技を推奨しています。また、2024年には欧州泌尿器科看護協会(EAUN)の成人向け留置カテーテルガイドラインの日本語版も公開され、具体的な準備物品や観察、トラブル対応が整理されています。

【基礎知識】膀胱洗浄とは?目的と実施が必要になるケース

膀胱洗浄手順

膀胱洗浄の目的と仕組み

膀胱洗浄は、膀胱内に滞留した血液、凝血塊、組織片などを洗浄液とともに排出し、尿の流出を確保するために行う処置です。特に、尿道留置カテーテルが血塊によって閉塞すると、尿が排出されなくなり、膀胱内に尿が貯留して下腹部痛や膀胱膨満を引き起こす可能性があります。

処置の目的は、単に膀胱内をきれいにすることではありません。最も重要なのは、尿路の通過性を維持し、尿閉や閉塞に伴う苦痛、さらなる合併症を防ぐことです。

なお、膀胱洗浄と膀胱内注入療法は異なる処置です。膀胱内注入療法は、膀胱がんの治療などを目的として薬剤を膀胱内に注入するものであり、洗浄液によって血塊などを排出する膀胱洗浄とは目的も管理方法も異なります。

膀胱洗浄の主な適応

日本泌尿器科学会の感染制御ガイドラインでは、尿道カテーテルの閉塞が予測される場合が膀胱洗浄の主な対象として示されています。

  • 経尿道的前立腺切除術などの泌尿器科手術後に高度の血尿がある場合
  • 膀胱や尿道からの出血によって凝血塊の形成が予測される場合
  • 血塊による尿道留置カテーテルの閉塞を予防する必要がある場合
  • 医師の判断により、閉塞したカテーテルの通過性を回復させる必要がある場合

特に注意したいのは、血尿がある患者全員に膀胱洗浄が必要なわけではないことです。血尿の程度、凝血塊の有無、尿流出の状態、術後の経過などを総合的に評価して判断します。

実施を避けるべき状況と慎重な判断が必要なケース

膀胱洗浄には、すべての患者に共通する単純な禁忌一覧が定められているわけではありません。しかし、医学的な適応がない場合は実施しないことが基本です。

次のような状況では、洗浄を開始したり継続したりする前に、医師への確認と原因評価が必要です。

  • 尿の混濁だけが認められ、カテーテル閉塞の危険性が確認されていない場合
  • 尿道や膀胱の損傷、膀胱穿孔が疑われる場合
  • カテーテルの位置や状態が不明確な場合
  • 洗浄液の注入時に強い抵抗や疼痛がある場合
  • 注入した洗浄液が十分に排出されず、膀胱膨満が疑われる場合
  • 急激な出血や全身状態の悪化が認められる場合

特に、抵抗がある状態で洗浄液を無理に注入すると、膀胱壁や尿路粘膜を損傷する危険があります。抵抗を感じた場合に圧力を強めて解決しようとすることは避け、処置を中断して原因を評価します。

【実践準備】膀胱洗浄の必要物品と閉鎖式・開放式の違い

膀胱洗浄に必要な物品

必要物品は、持続膀胱洗浄を行うのか、医師の指示による用手的な洗浄を行うのかによって異なります。

2024年版EAUNガイドラインの日本語版では、持続膀胱洗浄の準備物品として、次の器材が挙げられています。

  • 滅菌生理食塩水(灌流用バッグ)
  • 膀胱灌流用チューブ
  • 3WAYフォーリーカテーテル
  • 大容量の尿排液バッグ
  • カテーテルチップシリンジ
  • 用手洗浄が必要な場合の滅菌生理食塩水
  • 手袋、必要に応じた滅菌手袋
  • 個人防護具(エプロンやガウンなど)
  • 防水シーツ、廃棄物処理用品
  • 尿量・洗浄液量を測定するための記録用具

同ガイドラインの付録Oには、灌流用バッグ3L、50mLのカテーテルチップシリンジ、50mLの滅菌生理食塩水などの器材例が記載されています。ただし、これは一例であり、使用量や器材の規格は患者の状態、医師の指示、施設の採用器材に合わせて決定します。

膀胱洗浄と生理食塩水の関係

膀胱洗浄では、原則として滅菌生理食塩水を使用します。日本泌尿器科学会のガイドラインも、滅菌生理食塩水を使用した無菌手技を推奨しています。

生理食塩水を選択する理由は、尿路粘膜への刺激や洗浄液の組成に伴う問題を考慮しながら、血液や凝血塊などを排出するためです。

また、EAUNの2024年版ガイドラインでは、注入する生理食塩水を室温で保管・使用することが示されています。冷たい灌流液は膀胱けいれんを誘発する可能性があるためです。

抗菌薬や消毒薬を混ぜた洗浄液を日常的に使用することは推奨されていません。感染予防のために消毒薬を膀胱内へ注入するという考え方は、国内ガイドラインの推奨と一致しません。

閉鎖式持続膀胱洗浄と開放式膀胱洗浄の違い

膀胱洗浄は、実施方法によって閉鎖式と開放式に分類されます。両者の違いは、洗浄液の注入方法だけでなく、排液回路の閉鎖性を維持できるかどうかにあります。

比較項目 閉鎖式持続膀胱洗浄 開放式膀胱洗浄
主な目的 凝血塊による閉塞の予防 閉塞解除や血塊除去
使用器材 3WAYカテーテル、灌流バッグ、排液バッグ 滅菌シリンジ、滅菌生理食塩水など
洗浄方法 持続的に洗浄液を注入し、排液する 必要時に用手的な洗浄を行う
回路の管理 閉鎖式回路を維持する 接続を一時的に外す必要がある場合がある
感染管理 接続部の清潔保持と回路の閉鎖性が重要 回路開放に伴う微生物侵入に特に注意する
位置づけ 閉塞が予測される場合の基本的な選択肢 必要性を判断したうえで行う例外的な対応

日本泌尿器科学会は、閉塞予防目的で膀胱洗浄を行う場合、閉鎖式持続膀胱洗浄を推奨しています。一方、開放式洗浄は閉塞解除などの必要性がある場合に限って検討されます。

開放式洗浄では、尿道カテーテルと蓄尿バッグの接続を外すため、閉鎖式システムが破綻します。接続部から細菌が侵入するリスクが高まることから、安易に選択する方法ではありません。

【看護手順】膀胱洗浄の実施前から終了後までの流れ

膀胱洗浄の看護手順は、実施前の状態評価、物品準備、無菌操作、洗浄中の観察、終了後の記録という流れで整理できます。以下は成人の留置カテーテル管理に関する基本的な考え方です。実際の処置は医師の指示、施設内マニュアル、患者ごとの術後管理計画を優先します。

① 実施前の確認と患者への説明

最初に、患者の本人確認を行い、膀胱洗浄の目的と必要性を確認します。

  • 医師の指示と洗浄の適応を確認する
  • 患者の意識状態、バイタルサイン、疼痛の有無を確認する
  • 尿量、尿色、血尿の程度、凝血塊の有無を確認する
  • カテーテルの種類、留置状態、排液回路を確認する
  • 膀胱膨満や下腹部痛の有無を確認する
  • 患者に処置の目的と経過を説明する

この段階では、尿が流れにくい原因が洗浄によって解決できるものなのかを見極めることも大切です。チューブの屈曲や圧迫、蓄尿バッグの位置など、外部から確認できる原因を先に評価します。

② 必要物品の準備と無菌操作

必要な器材をそろえたら、手指衛生を行い、患者の状態と処置内容に応じた個人防護具を着用します。

滅菌器材の包装状態や使用期限を確認し、滅菌部分が不潔な環境に触れないように取り扱います。接続部や注入ルートを操作する際は、施設で定められた消毒方法に従い、清潔・無菌状態を維持します。

特に重要なのは、カテーテルと蓄尿バッグの接続部分、および灌流液を注入するルートです。これらの接続部分から微生物が侵入すると、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)につながる可能性があります。

③ 閉鎖式持続膀胱洗浄の開始

閉鎖式持続膀胱洗浄では、3WAYカテーテルの構造を利用します。一般的に、中央のルーメンは尿や洗浄液の排出に使用し、別のルーメンから灌流液を注入します。

洗浄液の注入速度は、血尿の程度、凝血塊の形成状況、膀胱の状態に応じて決定します。医師の指示に基づいて調整し、一定の速度をすべての患者に一律に適用することは避けます。

洗浄を開始した後は、注入した液体が適切に排出されているかを確認します。尿道カテーテルや排液チューブの屈曲、圧迫、接続部の異常にも注意します。

④ 開放式洗浄が必要な場合

閉鎖式持続洗浄だけでは閉塞の解除が困難で、血塊除去などの必要がある場合には、医師の指示のもとで開放式の用手洗浄を検討します。

日本泌尿器科学会のガイドラインでは、開放式洗浄が必要な場合にも滅菌生理食塩水を用い、清潔操作を心がけるよう示されています。滅菌シリンジや洗浄液を準備し、接続部の汚染を防ぐことが基本です。

実施時には、強い抵抗を伴う注入や無理な吸引を行わないことが重要です。疼痛、抵抗、排液不良が認められた場合には中断し、医師に報告します。具体的な注入・吸引操作や使用量は、患者の病態と施設の手順に従って判断します。

⑤ 終了後の確認と記録

洗浄後は、尿の流出が改善しているか、凝血塊が排出されたか、患者の疼痛や膀胱膨満が軽減しているかを確認します。

閉鎖式持続洗浄を継続する場合には、回路の接続状態と排液状況を確認し、注入量と排出量を記録します。洗浄を終了する場合も、医師の指示と患者の状態を踏まえて判断します。

また、処置内容、使用した洗浄液、注入量、排出量、尿の性状、患者の反応、異常の有無、実施した対応を看護記録に残します。

【安全管理】膀胱洗浄後の観察項目と合併症・リスク

必ず確認したい5つの観察項目

膀胱洗浄では、処置が終了したかどうかだけでなく、その後も尿路の通過性が保たれているかを確認する必要があります。

  • 尿の色と性状:血尿の程度、凝血塊、組織片、混濁の変化を確認する。
  • 尿量と排出状況:洗浄液の注入量に対して、排液が十分にあるか確認する。
  • 疼痛と膀胱膨満:下腹部痛、膀胱けいれん、膨満感の有無を確認する。
  • カテーテルと回路:屈曲、圧迫、接続部の異常、尿漏れを確認する。
  • 全身状態:発熱、悪寒、血圧や脈拍の変化、意識状態の変化を確認する。

注入量と排出量の計算方法

持続膀胱洗浄では、排液バッグにたまった液体の量を、そのまま患者の尿量として記録してはいけません。排液には注入した洗浄液が含まれているためです。

実際の尿量=カテーテルからの総排出量-膀胱洗浄液の注入量

例えば、洗浄液の注入量が1,500mL、排出量が2,000mLだった場合、実際の尿量は500mLです。

この計算を正しく行うことで、実際の尿量を把握できます。注入量に比べて排出量が少ない場合は、閉塞や液体の貯留が疑われるため、注入を停止して状況を評価する必要があります。

膀胱洗浄で起こり得る合併症

膀胱洗浄には、感染、尿路粘膜の損傷、膀胱けいれんなどのリスクがあります。特に、閉塞がある状態で洗浄液を注入し続けることは危険です。

  • カテーテル関連尿路感染症:接続部の汚染や閉鎖式回路の破綻によって感染リスクが高まる。
  • 膀胱けいれん:冷たい洗浄液や膀胱への刺激によって、疼痛や不快感が生じることがある。
  • 尿路粘膜損傷:強い圧力による注入や不適切な操作で出血や組織損傷を引き起こす可能性がある。
  • 膀胱穿孔:閉塞した状態で圧力が加わることなどによって重大な損傷につながる可能性がある。
  • 出血の悪化:血尿や凝血塊が増加し、カテーテル閉塞が再発することがある。

EAUNの2024年版ガイドラインでは、全身状態が悪い高齢患者や、膀胱・骨盤底への放射線治療歴がある患者では膀胱穿孔のリスクに注意するよう示されています。

異常が起きたときの対応

洗浄中に排出量が減少した場合は、まず洗浄を停止し、注入量と排出量を再確認します。チューブの屈曲や圧迫、膀胱膨満などを評価し、必要に応じて医師に報告します。

強い疼痛や膀胱膨満、排液の停止、出血の悪化がある場合は、洗浄液を無理に注入してはいけません。EAUNのガイドラインでも、抵抗がある場合には力を加えず、膀胱壁への損傷を防ぐことが示されています。

発熱や悪寒、意識状態の変化、急激なバイタルサインの変動が認められた場合も、速やかな報告と医学的評価が必要です。

【感染対策の核心】定期的な膀胱洗浄を行わない理由とは?

洗浄を繰り返しても感染予防につながるとは限らない

膀胱洗浄について、看護現場で誤解されやすいのが「定期的に洗浄すれば尿路感染症を予防できる」という考え方です。

しかし、日本泌尿器科学会の感染制御ガイドラインでは、尿道カテーテルの閉塞が予測されない限り、定期的な膀胱洗浄は推奨されていません。

また、尿混濁に対する開放式膀胱洗浄についても、カテーテル閉塞や発熱の頻度を減少させないと整理されています。抗菌薬や消毒薬を使用した定期的な洗浄についても、尿路感染症の頻度を減少させる効果が認められていないため、推奨されていません。

回路を開放すること自体が感染リスクになる

尿道留置カテーテルと蓄尿バッグの接続部分は、尿路への微生物の侵入を防ぐうえで重要な管理ポイントです。

開放式洗浄を繰り返すと、そのたびに接続部を操作する必要が生じます。適切な無菌操作を行っていても、回路を開放する機会が増えることは感染管理上の負担になります。

そのため、閉塞予防が必要な場合には、閉鎖式持続膀胱洗浄を優先し、不要な接続解除を避けることが合理的です。

日本泌尿器科学会の推奨を整理

国内ガイドラインのCQ3では、膀胱洗浄に関する推奨がエビデンスレベルとともに整理されています。

  • 推奨グレード1:閉塞が予測される場合を除き、定期的な洗浄は推奨しない。
  • 推奨グレード1:閉塞予防目的の洗浄では閉鎖式持続膀胱洗浄を行う。
  • 推奨グレード1:尿混濁に対する開放式洗浄は、閉塞や発熱の頻度を減少させない。
  • 推奨グレード2b:抗菌薬や消毒薬による定期的な洗浄は推奨しない。
  • 推奨グレード2b:洗浄は無菌手技で行い、滅菌生理食塩水を使用する。

これらの推奨は、洗浄を行うこと自体を否定するものではありません。必要な患者に適切な方法で実施し、不要な処置による感染リスクを避けるという考え方です。

【2026年の実務知識】看護師が押さえたいガイドラインと判断基準

国内外の主要なガイドライン

膀胱洗浄の実務を理解する際には、国内の感染制御ガイドラインと、留置カテーテル管理に関する看護実践ガイドラインを組み合わせて参照すると理解しやすくなります。

  • 日本泌尿器科学会:「尿路管理を含む泌尿器科領域における感染制御ガイドライン(改訂第2版)」。膀胱洗浄の適応、洗浄液、閉鎖式・開放式の使い分けを確認する際の国内の主要資料。
  • EAUN:「成人における膀胱留置カテーテルに関するガイドライン」2024年日本語版。付録Oに膀胱洗浄の手順、必要物品、トラブルシューティング、記録方法を掲載。
  • CDC:カテーテル関連尿路感染症の予防に関する推奨。閉塞が予測されない場合の洗浄を推奨せず、閉塞が予測される場合には閉鎖式持続洗浄を提案している。

日本泌尿器科学会の改訂第2版は2021年発行ですが、2026年時点でもMindsガイドラインライブラリでは最新版として掲載されています。2024年のEAUN日本語版と併せて参照することで、感染制御の基本と具体的な看護管理を補完できます。

現場で判断を誤らないためのチェックポイント

膀胱洗浄を実施するかどうか迷った場合は、次の判断基準が役立ちます。

  • 洗浄する明確な医学的適応があるか。
  • 血尿や血塊による閉塞が予測されているか。
  • 閉鎖式持続洗浄で対応できるか。
  • 滅菌生理食塩水と必要な滅菌器材が準備できているか。
  • 注入量と排出量を正確に管理できるか。
  • 疼痛、膀胱膨満、排液不良などの異常に対応できる体制があるか。

看護師が特に意識したいのは、洗浄を実施する技術だけでなく、実施しないという判断も適切な看護実践の一部だという点です。尿混濁だけを理由に洗浄を繰り返すのではなく、閉塞の有無や感染徴候を評価することが大切です。

【膀胱洗浄手順に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:膀胱洗浄には生理食塩水と水道水のどちらを使用しますか?

A1:原則として滅菌生理食塩水を使用します。日本泌尿器科学会の感染制御ガイドラインでも、滅菌生理食塩水を用いた無菌手技が推奨されています。水道水を膀胱内への洗浄液として使用することは適切ではありません。

Q2:尿が混濁している場合は膀胱洗浄を行うべきですか?

A2:尿混濁だけでは膀胱洗浄の適応になりません。閉塞が予測されない場合の定期的な洗浄は推奨されていません。尿混濁の原因や感染徴候、尿の流出状況を評価し、必要に応じて尿検査などを検討します。

Q3:閉鎖式と開放式の膀胱洗浄はどちらが推奨されますか?

A3:カテーテルの閉塞予防が目的であれば、閉鎖式持続膀胱洗浄が推奨されます。開放式洗浄は閉塞解除などの必要性がある場合に、医師の指示と適切な清潔操作のもとで実施します。

Q4:膀胱洗浄中に注入量より排出量が少ない場合はどうしますか?

A4:まず洗浄を停止し、注入量と排出量を再確認します。排液チューブの屈曲や圧迫、膀胱膨満、カテーテル閉塞などを評価し、必要に応じて医師へ報告します。洗浄液を無理に注入してはいけません。

Q5:膀胱洗浄は毎日実施する必要がありますか?

A5:いいえ。閉塞が予測されない限り、定期的な膀胱洗浄は推奨されていません。感染予防のために毎日洗浄するという考え方は、国内ガイドラインの推奨とは異なります。

まとめ:膀胱洗浄は適応判断・無菌操作・観察が安全管理の基本

膀胱洗浄手順を理解するうえで重要なのは、処置の方法だけでなく、実施する必要性を正しく判断することです。

日本泌尿器科学会の感染制御ガイドラインでは、尿道留置カテーテルの閉塞が予測される場合に、滅菌生理食塩水を使用した閉鎖式持続膀胱洗浄を推奨しています。開放式洗浄は閉塞解除などの必要がある場合に限り、無菌手技を心がけて行います。

看護師・医療従事者が特に押さえておきたいのは、次の3点です。

  • 適応を見極める:尿混濁だけを理由に定期的な膀胱洗浄を行わない。
  • 感染を防ぐ:滅菌生理食塩水を使用し、無菌操作と閉鎖式回路の維持を徹底する。
  • 異常を早期発見する:尿の性状、注入量・排出量、疼痛、膀胱膨満、全身状態を継続的に観察する。

膀胱洗浄は、適切に実施すれば血塊による尿路閉塞への重要な対応となります。一方で、不要な洗浄や不適切な操作は、感染や組織損傷につながる可能性があります。国内ガイドラインと施設の手順を基準に、患者ごとの状態に応じた安全な看護実践を徹底することが大切です。