平井堅のマイク選びを知るうえで欠かせないのが、2011年5月13日深夜に放送された『タモリ倶楽部』の企画「番組29年目の悲願!今さらですが…MYマイクでオープニングを撮ろう!!」です。
この回には、タモリ、博多華丸・大吉、近田春夫らとともに平井堅が出演。複数のマイクメーカーが製品を持ち寄り、実際に録音した音を聴き比べるという内容でした。
当時の番組を詳しく記録した視聴者のレポートによると、平井堅は自分専用のマイクを2本所有していました。
- レコーディング用マイク
- ライブ用マイク
そのうち、ライブ用として紹介されたのがSHUREのKSM9/SLです。
初めて購入したマイクもSHUREだった
番組で紹介されたもう一つの重要なエピソードが、平井堅の初めてのマイク購入です。
SHUREのSM58-LCE、通称「ゴッパー」がそれに当たります。
番組の記録では、平井自身が初めて購入したマイクとしてSM58を挙げています。
SM58は長年、ライブハウスやレコーディング現場で使われてきた定番のボーカルマイクです。
特別に高価な製品ではありませんが、耐久性と扱いやすさに定評があります。
歌手として活動を始めた頃に選んだマイクがSM58だったというエピソードは、平井堅の機材遍歴を理解するうえで興味深いポイントです。
2011年6月19日のJ-WAVE『TOKIO HOT 100』でも、平井本人が『タモリ倶楽部』への初出演について振り返っています。番組出演そのものは本人のラジオでの発言からも確認できます。
KSM9/SLの色には気になる違いも
ここで一つ、機材情報を調べる際に見逃せない点があります。
当時の視聴者レポートでは、平井堅のKSM9/SLは黒色で、ボディに「ken」と刻印されていたと記録されています。
一方、SHUREの製品資料では、KSM9/SLの標準色はシャンパンゴールド、KSM9/CGはチャコールグレーです。
つまり、番組記録にある外観の説明と標準製品のカラー表記には違いがあります。
特注仕様なのか、映像上の見え方によるものなのかは、公開資料だけでは判断できません。
型番と外観を同一視しないことも、平井堅のマイク情報を正確に理解するポイントです。
【機材の関係を一覧】平井堅の愛用マイクと関係者を整理

ここまでに判明した機材と関係者の情報をまとめます。
この関係を整理すると、平井堅のマイク選びには、ライブとレコーディングを明確に使い分ける考え方があったことが分かります。
特に重要なのは、KSM9/SLと録音用マイクを混同しないことです。
KSM9/SLはライブ用として紹介された機種ですが、20年以上変更していないと語られた録音用マイクの型番は別途明らかになっていません。
【KSM9/SLとSM58の違い】コンデンサーマイクとダイナミックマイクを比較
平井堅の愛用機材として登場するKSM9/SLとSM58は、同じSHURE製品でもマイクの方式が異なります。
KSM9/SLは繊細な歌声を捉えるコンデンサーマイク
SHUREのKSM9は、ライブパフォーマンス向けに設計された高性能コンデンサーマイクです。
特徴は、2枚のダイアフラムを採用したデュアル・ダイアフラム構造です。
主な特徴は次のとおりです。
- 周波数特性:50Hz~20kHz
- 指向特性:カーディオイド/スーパーカーディオイド切り替え
- 最大音圧レベル:152dB SPL
- ファンタム電源:11~52V DC対応
特に注目したいのが、指向特性を切り替えられる点です。
カーディオイドは正面の音を中心に拾う方式で、スーパーカーディオイドはさらに狭い範囲を中心に集音します。
周囲の楽器やステージ上の音が混在する環境では、こうした特性が役立ちます。
また、SHUREはKSM9のデュアル・ダイアフラム構造について、近接効果を抑え、マイクとの距離が変わった際の低音の変化を少なくする設計だと説明しています。
SM58は耐久性に優れた定番ダイナミックマイク
一方のSM58は、ダイナミック型のボーカルマイクです。
主な仕様は次のとおりです。
- 周波数特性:50Hz~15kHz
- 指向特性:カーディオイド
- 方式:ムービングコイル型ダイナミックマイク
- 重量:約330g
SM58の魅力は、頑丈な構造とボーカル向けに調整された音質です。
内蔵ポップフィルターが息によるノイズを軽減し、金属製グリルとショックマウントが日常的な使用を支えます。
ライブハウス、音楽スタジオ、イベント会場など、幅広い現場で利用されている理由もここにあります。
KSM9とSM58はどちらが優れている?
両者は設計思想が違うため、単純に優劣を決めることはできません。
| 比較項目 | KSM9/SL | SM58 |
|---|---|---|
| マイク方式 | コンデンサー | ダイナミック |
| 音の特徴 | 繊細なニュアンスを捉える | 力強く実用的 |
| 周波数特性 | 50Hz~20kHz | 50Hz~15kHz |
| 指向性 | 2種類から選択 | カーディオイド |
| 電源 | ファンタム電源が必要 | 不要 |
| 主な特徴 | 高解像度・指向性切り替え | 耐久性・扱いやすさ |
KSM9は声の細かな表情やニュアンスを捉えたい場合に魅力的です。
SM58は、耐久性や安定した運用を重視する場合に適しています。
ただし、コンデンサーマイクだから必ず音が良く、ダイナミックマイクだから音質が劣るという理解は正しくありません。
最終的な音質は、マイク本体だけでなく、歌い手の声質、マイクとの距離、音響設備、ミキシングによっても変わります。
【なぜマイクを口元に近づける?】平井堅の歌唱スタイルと音響の関係
平井堅の歌唱シーンで印象的なのが、マイクを口元に非常に近づけるスタイルです。
まるでマイクを食べているように見えることから、インターネット上でもたびたび話題になります。
しかし、マイクを口元に近づけることには、音響面で明確なメリットがあります。
1. 声を近くで拾うことで周囲の音を抑えやすくなる
マイクは、口元に近づけるほど直接音を大きく拾いやすくなります。
ステージでは、楽器やスピーカー、観客の声など、多くの音が存在します。
ボーカルと周囲の音のバランスを整えるためにも、適切な距離で歌うことは大切です。
SHUREのSM58取扱説明書でも、口元から15cm以内、またはグリルに触れるほど近い位置で使用する方法が紹介されています。
2. 低音が強くなる「近接効果」
マイクを口元に近づけると、低音域が強調されることがあります。
これが近接効果(Proximity Effect)です。
SHUREの説明によると、単一指向性マイクでは音源から約6mmの距離になると、100Hz以下の低音が6~10dB程度増加する場合があります。
この効果を利用すると、声に厚みや温かみを加えられます。
ただし、近づけすぎると低音が過剰になったり、息によるポップノイズが目立ったりするため、適切な距離調整が必要です。
3. 歌声の強弱をマイクでコントロールできる
プロのボーカリストは、歌唱中にマイクとの距離を調整することで音量や音色の変化をコントロールします。
例えば、次のような使い方があります。
- 小さな声で歌う部分:マイクを近づける
- 強く歌う部分:必要に応じて少し離す
- 息の多いフレーズ:角度や距離を調整する
- 高音の強い部分:音割れや過大入力を防ぐように調整する
このような技術をマイクワークと呼びます。
平井堅の歌唱に見られるマイクとの近さも、歌声を収音する方法という視点から理解すると、単なる見た目の癖とは異なる意味が見えてきます。
ただし、平井本人が口元に近づける理由を特定の音響テクニックとして説明した公開証言は、今回確認した資料にはありません。
4. マイクの持ち方にも注意点がある
マイクのグリル部分を手で覆うと、音の拾い方や指向性が変化し、ハウリングなどの原因になる場合があります。
SHUREもSM58の取扱説明書で、グリルを手で覆わないよう注意しています。
マイクは単に握ればよいというものではなく、マイクの構造と音響特性を理解した扱い方が必要です。
【録音用マイクが20年以上変わらない理由】工藤雅史氏の証言が示すこだわり
平井堅のマイクに関する情報で、特に興味深いのがレコーディング用マイクの話です。
このエピソードの重要な証言者は、長年平井堅の音楽制作を支えてきたレコーディング・エンジニアの工藤雅史氏です。
平井堅の25周年記念サイトに掲載されたスペシャルインタビューでは、工藤氏がレコーディング環境の変化とマイクについて語っています。
テープからデジタルへ変わってもマイクは同じ
工藤氏によると、平井堅との付き合いは20年以上に及びます。
初めてミックスを担当した楽曲は、2000年1月発表のシングル『楽園』のカップリング曲『affair』でした。
その後も多くの作品のミックスを担当しています。
インタビューで工藤氏は、レコーディング環境が大きく変化したことを説明しています。
かつてのテープ録音からデジタル録音へ、さらにパソコンを使ったDAWレコーディングが主流になりました。
しかし、歌を録音するマイクだけは20年以上変えていないと明かしています。
特に印象的なのが、次の言葉です。
「歌を録音するマイクだけは20年以上変えていないんです。なんというか聖域な部分というか(笑)。」
これは工藤氏自身による証言です。
単に古い機材を使い続けているという話ではありません。
録音技術や制作環境が変わっても、ボーカルの音を収録する部分については一貫性を保ってきたというエピソードです。
なぜ録音用マイクを変えないのか?
考えられる音楽制作上の意味は、大きく3つあります。
1. 声の基準となる音を維持できる
同じマイクを使い続ければ、収録時の音の傾向を把握しやすくなります。
エンジニアにとっても、アーティストにとっても、長年慣れ親しんだ収録環境は大きな財産です。
2. 音作りの再現性を確保しやすい
録音機材が変われば、同じ歌声でも収録される音の印象が変化する可能性があります。
マイクを固定することは、作品ごとの音作りにおける基準を保つ一つの方法になります。
3. 歌い手とエンジニアの信頼関係がある
工藤氏のインタビューでは、平井堅の音楽に対する真面目な姿勢や、長年にわたる制作上のやり取りについても語られています。
録音用マイクを変更しないという話は、こうした制作チームの積み重ねとも関係していると考えられます。
もっとも、これらは制作現場の一般的な観点から読み取れる意味であり、工藤氏が変更しない理由を一つずつ明言したものではありません。
録音用マイクの型番は判明している?
ここが検索ユーザーにとって最も気になる部分でしょう。
録音用マイクの具体的なメーカー名や型番は、紹介した25周年記念インタビューでは公表されていません。
2011年の『タモリ倶楽部』の視聴記録では、平井堅がライブ用とレコーディング用の2本を持っていたことが確認できます。
一方、KSM9/SLはライブ用として紹介されています。
そのため、次のような推測には注意が必要です。
- 録音用もKSM9/SLだったと決めつけること
- 初めて購入したSM58を20年以上使い続けていると解釈すること
- 特定のノイマン製マイクなどを録音用として断定すること
工藤氏の証言から分かるのは、録音用マイクを長期間変更していなかったという事実です。
機種名が公表されていないことと、機材へのこだわりが存在しないことは別の話です。
【ネットの噂を検証】平井堅のマイク情報で間違えやすい4つのポイント
検索結果では、ライブ用マイク、録音用マイク、歌唱時の持ち方などが一緒に紹介されることがあります。
しかし、それぞれは別の情報として整理する必要があります。
誤解1:SM58が現在のライブ用マイクである
SM58は平井堅が初めて購入したマイクとして紹介された機種です。
一方、2011年の番組記録でライブ用として紹介されたのはKSM9/SLです。
購入時期と用途を混同しないことが大切です。
誤解2:録音用マイクの型番もKSM9/SLである
KSM9/SLはライブ用として紹介された機種です。
録音用マイクの型番は、工藤氏の証言からは特定できません。
誤解3:20年以上同じマイクなら2026年現在も必ず同じ
20年以上変更していないという発言は、平井堅の25周年記念インタビューに掲載されたものです。
2026年現在の機材構成まで同一であることを示す新しい公式発表とは異なります。
誤解4:マイクに口を近づけるのは声量が足りないから
マイクを近づける理由は、音響的な距離調整や音色のコントロールなど複数あります。
口元に近づける姿だけから、歌唱力や声量を判断することはできません。
マイク情報を見分ける判断基準
平井堅の愛用マイクについて情報を調べる際は、次の区別を意識すると正確に理解できます。
- 本人の発言:本人が実際に話した内容
- 番組記録:放送時に紹介された機材
- エンジニアの証言:制作現場の経験に基づく情報
- メーカー資料:製品の正式な仕様
- ファンや視聴者の記録:映像や番組を見た人による観察
特に、機材の型番と色、ライブ用と録音用の違いは慎重に確認したい部分です。
【よくある質問】平井堅のマイクに関するFAQ
Q1:平井堅がライブで使っていたマイクの型番は何ですか?
A1:2011年の『タモリ倶楽部』でライブ用として紹介されたのは、SHURE KSM9/SLです。ただし、2026年現在のライブ用機材が同じであるという最新の公式確認はありません。
Q2:平井堅が初めて買ったマイクは何ですか?
A2:SHURE SM58-LCEです。通称「ゴッパー」と呼ばれる定番のダイナミックマイクです。
Q3:平井堅のレコーディング用マイクは何ですか?
A3:具体的なメーカー名や型番は公表されていません。長年のレコーディング・エンジニアである工藤雅史氏が、歌の録音用マイクは20年以上変更していないと証言しています。
Q4:KSM9/SLとSM58はどちらもコンデンサーマイクですか?
A4:いいえ。KSM9/SLはコンデンサーマイク、SM58はダイナミックマイクです。音を拾う仕組みや電源の必要性などが異なります。
Q5:平井堅がマイクを口元に近づけるのはなぜですか?
A5:マイクを近づけると、直接音を拾いやすくなり、近接効果によって低音が強調される場合もあります。ただし、平井本人がその理由を特定の技術として説明した公開証言は確認できません。
Q6:録音用マイクを20年以上変えないのはなぜですか?
A6:工藤雅史氏は、そのマイクを「聖域な部分」と表現しています。長年培った音作りや収録環境の一貫性を大切にしていることがうかがえます。
まとめ:平井堅のマイクへのこだわりは音作りの一貫性にあった
平井堅のマイクについて調べると、2011年の『タモリ倶楽部』と、25周年記念サイトのエンジニアインタビューという2つの重要な情報源にたどり着きます。
今回明らかになった要点は次のとおりです。
- SHURE KSM9/SL: 2011年の番組で紹介されたライブ用マイク。
- SHURE SM58: 平井堅が初めて購入したマイク。
- 録音用マイク: 工藤雅史氏が20年以上変更していないと証言。ただし型番は非公表。
特に注目したいのは、録音環境がアナログからデジタルへ移行しても、ボーカル収録用マイクだけは変えなかったという話です。
マイクは単なる音を拾う道具ではありません。歌い手の声の質感や作品全体の印象を左右する、音楽制作における重要な要素です。
平井堅のマイク選びから見えてくるのは、新しい機材を追い続けることだけが音質向上ではないという考え方です。
機材を使い分ける柔軟さと、長年使い続けるものを大切にする姿勢。その両方が、平井堅の音楽制作を支える興味深い特徴です。
主な参考資料:平井堅25周年記念サイト・工藤雅史氏インタビュー、テレビ朝日『タモリ倶楽部』2011年5月放送記録、J-WAVE『TOKIO HOT 100』2011年6月19日放送記録、SHURE公式製品資料・取扱説明書。