箱根駅伝の表彰式で優勝校に贈られるトロフィー。実は、毎年異なるデザインで制作される箱根寄木細工の記念品と、100年以上の大会の歴史を刻んできた総合優勝杯という、異なる役割を持つものが存在します。2026年の第102回大会では、青山学院大学が総合・往路・復路のすべてを制覇。その往路優勝校に贈られた記念トロフィーは、ドジャースの大谷翔平選手をモチーフにした意外なデザインでも話題になりました。
2026年11月現在、注目されているのは大谷翔平選手を取り入れたトロフィーの制作背景、箱根寄木細工の職人たちが受け継ぐ技術、そして旧総合優勝杯が箱根駅伝ミュージアムに常設展示されるようになった経緯です。ネットの反応や炎上とされた騒動、持ち回りに関する噂の真相まで、最新情報を整理します。
【まず知りたい結論】箱根駅伝のトロフィーは2種類ある!

箱根駅伝のトロフィーを調べる際、最初に理解しておきたいのが、総合優勝杯と往路優勝記念トロフィーの違いです。
テレビ中継で目にする木製の美しいトロフィーだけが、箱根駅伝の優勝杯ではありません。
大きく分けると、次の2種類が存在します。
① 総合優勝杯は大会全体の栄冠を象徴するもの
総合優勝杯は、東京・大手町から箱根・芦ノ湖までの往路と、東京へ戻る復路を合わせた総合成績で優勝した大学を称えるものです。
2026年の第102回大会では、青山学院大学が総合タイム10時間37分34秒という大会新記録で優勝しました。
同大学は3年連続9回目の総合優勝を達成し、大会史上初となる2度目の3連覇という記録も打ち立てています。
② 往路優勝記念トロフィーは箱根町の伝統工芸品
もう一つが、1月2日の往路を制した大学に贈られる箱根寄木細工のトロフィーです。
こちらは箱根町が制作を依頼し、地元の金指ウッドクラフトが手掛けてきた記念品です。
特徴は、毎年デザインが変わること。
その年の社会的な出来事や流行、話題になった人物などをモチーフに取り入れ、箱根の伝統工芸として仕上げられています。
つまり、総合優勝杯は大会全体の歴史と栄光を象徴し、往路優勝トロフィーは箱根の文化とその年の時代背景を映し出す作品なのです。
【2026年最新情報】第102回箱根駅伝のトロフィーは大谷翔平がモチーフ!
2026年の箱根駅伝トロフィーで大きな注目を集めたのが、野球をモチーフにしたデザインです。
第102回大会の往路優勝校に贈られる記念トロフィーは、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の活躍から着想を得て制作されました。
この作品は2025年12月18日に公開され、2026年大会向けとして通算30作目にあたります。
大谷翔平の二刀流を表現した独特のデザイン
制作を担当したのは、箱根町畑宿に工房を構える金指ウッドクラフトです。
今回の作品は、2022年に82歳で亡くなった伝統工芸士・金指勝悦さんの技術を受け継ぐ職人たちによる合作となりました。
中心となったのは、勝悦さんのおいにあたる金指雲流さんら3人の弟子です。
制作期間は約1年。大谷選手の投打の二刀流をイメージした野球モチーフが採用されました。
具体的な特徴は次のとおりです。
- カップ内部:野球ボールの縫い目を思わせるデザイン。
- 木材:ミズキやクルミなどを使い分け、天然木の色合いを活用。
- 台座側面:木象嵌の技法で大谷選手の愛犬や七宝柄を表現。
- 全体のテーマ:大谷選手の二刀流とスポーツの努力を象徴するデザイン。
特に目を引くのが、木象嵌によって表現された大谷選手の愛犬です。SNSではデコピンを連想するデザインとしても話題になりました。
なぜ駅伝のトロフィーに野球を取り入れたのか?
このデザインには、制作側のスポーツに対する考え方が反映されています。
金指ウッドクラフトの金指ナナさんは、野球と駅伝という異なる競技であっても、目標に向かって努力するスポーツの素晴らしさを感じてほしいという趣旨の思いを語っています。
つまり、箱根駅伝の選手と大谷選手を競技成績で比較するための作品ではありません。
その年を象徴するスポーツ界の出来事を、箱根の伝統工芸によって表現したものです。
2026年のトロフィーは、単なる優勝記念品にとどまらず、2025年のスポーツ界の記憶を木工芸として残す作品にもなっています。
第102回大会の優勝校と記録
2026年1月2日・3日に行われた第102回大会の結果は以下のとおりです。
- 総合優勝:青山学院大学
- 往路優勝:青山学院大学
- 復路優勝:青山学院大学
- 総合タイム:10時間37分34秒
往路優勝校も青山学院大学だったため、大谷翔平選手をモチーフにした記念トロフィーは、同大学に贈られることになりました。
【歴史と関係者一覧】箱根駅伝トロフィーは誰が作っている?
箱根駅伝の往路優勝トロフィーには、長い制作の歴史があります。
始まりは1997年の第73回大会です。
箱根町が往路優勝校に寄木細工のトロフィーを贈るようになり、金指ウッドクラフトが継続して制作を担当してきました。
1997年から2026年までの主な経緯
特に重要なのは、伝統工芸士の金指勝悦さんから次世代の職人へと技術が引き継がれたことです。
2022年に勝悦さんが亡くなった後も、妻の金指ナナさんや弟子たちが制作を継続しています。
2026年の作品は、単に新しいデザインを採用しただけではなく、職人の世代交代という意味でも節目となりました。
トロフィーをめぐる関係者・役割一覧
| 関係者・対象 | 役割・関係 | 主な事実 |
|---|---|---|
| 箱根町 | 贈呈主体 | 1997年から往路優勝校に記念杯を贈呈 |
| 金指勝悦さん | 制作の礎を築いた職人 | 無垢の寄木細工を生かした作品を制作 |
| 金指ナナさん | 制作活動を引き継ぐ代表 | 勝悦さんの死後も制作を継続 |
| 金指雲流さんら弟子3人 | 2026年作品の制作 | 大谷翔平モチーフの作品を共同制作 |
| 青山学院大学 | 第102回往路優勝校 | 2026年の往路優勝記念杯の贈呈先 |
| 関東学生陸上競技連盟 | 大会運営に関わる団体 | 旧総合優勝杯をミュージアムに寄託 |
箱根寄木細工の技術が特別な理由
箱根寄木細工は、異なる種類の木が持つ自然の色や木目を組み合わせ、幾何学模様を生み出す伝統工芸です。
一般的な塗装や着色によって色を付けるのではなく、木材そのものの色彩を組み合わせて模様を作るところに特徴があります。
制作技法には主に次のものがあります。
- ヅク貼り: 模様を作った木材を薄く削り、別の製品の表面に貼る技法。
- ムクづくり: 模様を組み合わせた木材そのものを加工する技法。
- 木象嵌: 異なる色の天然木を組み合わせ、絵や模様を表現する技法。
箱根駅伝の往路優勝トロフィーには、特にムクづくりが用いられます。
2026年の作品では木象嵌も取り入れられ、異なる技法を組み合わせることで、より複雑な意匠が実現しました。
【噂の真相】総合優勝トロフィーは返還する?旧優勝杯の現在
箱根駅伝のトロフィーを調べる人が特に気にするのが、「優勝した大学はトロフィーをずっと保管できるのか」という疑問です。
この話題では、総合優勝杯と往路優勝記念杯を混同しないことが大切です。
第100回大会まで使用された銀製の総合優勝杯
長年使用されていた総合優勝杯は、第80回大会を記念して製作されたものです。
その特徴は非常に立派なものです。
53cm
旧総合優勝杯の高さ
素材
銀製
重さ
5kg超
製作の節目
第80回大会
刻まれた記録
第1回〜第100回大会
出典:月刊陸上競技・月陸Onlineの2025年7月16日報道。
台座には、第1回大会の優勝校である東京高師から、第100回大会の優勝校である青山学院大学まで、歴代優勝校や優勝回数、年号が刻まれています。
100回にわたる大会の歴史を一つのカップに記録した、非常に貴重な品です。
2025年に起きた大きな変更
この総合優勝杯は、第101回大会から新しいものに切り替わりました。
そのため、旧優勝杯は役目を終えた後も大会の歴史を伝える資料として保存されることになりました。
2025年7月16日には、一般社団法人関東学生陸上競技連盟から箱根駅伝ミュージアムへの寄託式が行われています。
そして、2025年7月19日から常設展示が始まりました。
往路優勝トロフィーは持ち回りなのか?
ここは誤解が生じやすい部分です。
箱根町の公式資料と金指ウッドクラフトの紹介によって確認できるのは、往路優勝校に毎年異なる寄木細工のトロフィーが贈られているということです。
一方、往路優勝トロフィーについて、大学側の保管期間や返還条件を一律に定めた詳細な規定は、公開資料からは確認できません。
したがって、次のように区別して理解するのが正確です。
- 旧総合優勝杯:第100回大会まで使用され、現在はミュージアムで展示。
- 新しい総合優勝杯:第101回大会から使用。
- 往路優勝記念杯:箱根町から往路優勝校に贈呈される、毎年デザインが異なる作品。
「箱根駅伝のトロフィーは全部同じものを翌年返す」という説明は、これらの違いを無視したものです。
【ネットの反応・炎上】2026年の大谷翔平トロフィーに賛否が分かれた理由
2026年の往路優勝記念トロフィーは、その独特なデザインからSNSでも話題になりました。
特に注目されたのは、駅伝の表彰に野球をモチーフにした作品が登場したことです。
批判的な反応が生まれた背景
2026年1月2日には、トロフィーの画像とともにSNS上で疑問や批判を示す投稿が拡散しました。
主な論点は次のようなものです。
- 駅伝の優勝記念品なのに、なぜ野球がテーマなのか。
- 選手たちが努力して勝ち取った栄冠を、駅伝そのものに関連したデザインで表現してほしい。
- 大谷選手の活躍と箱根駅伝の関係が分かりにくい。
- デコピンを含めたデザインに意外性を感じる。
一部のまとめサイトも「炎上」という表現で取り上げ、批判的な意見を紹介しました。
一方で、作品の技術を評価する見方も
反対に、トロフィーの独創性や寄木細工の技術に注目する人もいました。
その年を象徴する出来事を伝統工芸で表現するという制作方針は、過去の作品にも共通しています。
例えば、過去には次のようなテーマが採用されています。
- 2017年:将棋をモチーフにした作品。
- 2020年:東京2020オリンピック・パラリンピックをテーマにした作品。
- 2021年:『鬼滅の刃』をモチーフにした作品。
- 2022年:平和への願いを込めた作品。
- 2026年:大谷翔平選手の二刀流をイメージした作品。
箱根町の公式紹介資料にも、世相や話題を反映したトロフィーの制作例が残っています。
炎上の噂はどこまで事実なのか?
今回の騒動で区別したいのは、SNS上で批判が出たことと、社会全体を巻き込む大規模な炎上が発生したことは同じではないという点です。
2026年1月2日に批判的な投稿が紹介され、まとめサイトでも話題になったことは確認できます。
しかし、批判の規模を示す代表性のある世論調査や、箱根町・制作側による公式謝罪やデザイン撤回が行われたという事実は、確認できる公表資料には見当たりません。
また、制作側の説明では、異なる競技であっても努力するスポーツの素晴らしさを伝えることが意図されていました。
そのため、今回の出来事は、トロフィーのデザインをめぐってSNSで賛否が起きた話題として捉えるのが適切です。
「大谷翔平をモチーフにしたことが正式に問題視され、トロフィーが撤回された」という噂とは区別する必要があります。
【見学ガイド】箱根駅伝の本物のトロフィーはどこで見られる?
箱根駅伝の歴史やトロフィーを実際に見たい人におすすめなのが、神奈川県箱根町にある箱根駅伝ミュージアムです。
ここでは、旧総合優勝杯の常設展示に加え、歴代の大会資料や往路優勝記念トロフィーに関連する展示を楽しめます。
箱根駅伝ミュージアムの基本情報
所在地
神奈川県足柄下郡箱根町箱根167
平日
10:00〜16:30
土日祝
9:30〜17:00
大人入館料
750円
小中学生入館料
550円
入館は閉館30分前まで。冬期営業などは公式案内で要確認。
出典:箱根駅伝ミュージアム公式利用案内(2026年確認)。
公式サイト:
どんな展示が見られる?
ミュージアムには、箱根駅伝の歴史を振り返るヒストリーゾーンや、選手のユニフォームとたすきを紹介する展示があります。
また、地元箱根に関係するエピソードや寄木細工の往路優勝杯についても紹介されています。
特に注目したいのが、次の3つです。
1. 旧総合優勝杯: 100回大会までの歴史を刻んだ銀製カップ。
2. 往路優勝記念トロフィーの資料: 箱根寄木細工の作品やレプリカ。
3. 歴代大会の記録: 優勝校や区間記録、名場面の写真など。
なお、ミュージアムに展示されている往路優勝トロフィーのレプリカと、2026年に青山学院大学へ贈られた実物は区別しておきましょう。
【プロの結論】箱根駅伝トロフィーの価値は優勝だけではない
箱根駅伝のトロフィーを理解するうえで、最も重要なのは、単なるスポーツの賞品として見ないことです。
特に往路優勝記念杯には、3つの異なる価値があります。
第一に、競技の記録を残す価値。
往路優勝という結果は、その年の選手たちが箱根の山を越え、芦ノ湖までたすきをつないだ証です。トロフィーは、その瞬間を形として残します。
第二に、地域文化を継承する価値。
箱根寄木細工は、天然木の色合いを生かす伝統技術です。毎年異なる作品を作ることは、工芸技術を次の世代に伝える機会にもなっています。
第三に、その時代を記録する価値。
2026年の大谷翔平選手をモチーフにした作品は、その年のスポーツ界の話題を工芸として残した例です。
一方、総合優勝杯は大会そのものの歴史を刻み続けています。
トロフィーの情報を見極める3つの基準
ネットニュースやSNSで箱根駅伝のトロフィーについて調べる場合は、次の点を確認すると誤解を防げます。
- 大会回数を確認する: 第100回以前の銀製カップと、第101回以降の総合優勝杯を混同しない。
- 優勝区分を確認する: 総合優勝と往路優勝では贈呈される記念品が異なる。
- 実物とレプリカを区別する: ミュージアムの展示品が原物なのか、複製品なのかを確認する。
次の第103回大会は2027年1月2日・3日に開催予定です。2026年11月現在、次回の往路優勝トロフィーの具体的なデザインは、公開資料ではまだ確認できません。
【箱根駅伝トロフィー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:箱根駅伝のトロフィーは誰が作っていますか?
金指ウッドクラフトが制作しています。1997年の第73回大会から箱根町の依頼を受け、往路優勝校に贈る寄木細工のトロフィーを手掛けています。
Q2:2026年の箱根駅伝トロフィーのモチーフは何ですか?
大谷翔平選手の二刀流です。野球ボールをイメージしたカップや、木象嵌による愛犬の意匠などが特徴です。
Q3:箱根駅伝の総合優勝杯はどこにありますか?
第100回大会まで使用された旧総合優勝杯は、箱根駅伝ミュージアムに寄託され、2025年7月19日から常設展示されています。
Q4:箱根駅伝の往路優勝トロフィーは毎年同じデザインですか?
いいえ。毎年デザインが変わります。その年の流行や社会的な出来事などを反映して制作されます。
Q5:箱根駅伝のトロフィーは炎上したことがありますか?
2026年の大谷翔平選手をモチーフにした作品について、SNSで賛否が起きました。ただし、公式な謝罪やデザイン撤回があったという事実は確認されていません。
Q6:旧総合優勝杯の大きさや重さはどれくらいですか?
高さ約53cm、重さ5kg超の銀製カップです。台座には第1回から第100回までの優勝校などが刻まれています。
まとめ:箱根駅伝トロフィーは伝統と時代をつなぐ記念品
箱根駅伝トロフィーには、総合優勝杯と往路優勝記念トロフィーという2つの異なる存在があります。
2026年の第102回大会では、大谷翔平選手の二刀流をモチーフにした寄木細工の記念杯が話題になりました。制作には金指雲流さんら3人の弟子が携わり、金指勝悦さんから受け継がれた伝統技術が生かされています。
また、第100回大会まで使用された銀製の総合優勝杯は、箱根駅伝ミュージアムで常設展示され、長い大会の歴史を伝えています。
ネット上ではデザインへの賛否もありましたが、そこには駅伝という競技への思い入れと、伝統工芸に対する関心の両方が表れていました。
箱根駅伝のトロフィーは、優勝した大学の栄光を記録するだけでなく、箱根の職人技と、その時代のスポーツ文化を次の世代へ伝える存在です。
2027年の第103回大会では、どのようなデザインの寄木細工が生まれるのか。次の優勝トロフィーにも注目が集まります。