まず気になる営業状況から確認したい。2026年11月3日現在、旦過市場は営業を続けている。市場全体が閉鎖されたわけではなく、再整備工事の対象エリアを除き、買い物や飲食を楽しめる店舗が営業している。
北九州市が2026年4月23日に公開した「旦過食べ歩きマップ2026年版」の紹介ページにも、工事が進む中で個性豊かな店舗が営業していると記載されている。加えて、同市の航空写真による再整備状況のページでも、旦過市場と旦過青空市場は工事箇所を除いて通常営業を続けていると説明されている。
旦過青空市場も営業を継続
旦過青空市場は、2022年の火災で被災した店舗や、再整備事業に伴って移転する店舗の営業場所を確保するために設けられた仮設市場だ。
北九州市の資料によると、供用が始まったのは2023年4月。従来の市場から離れて営業を続けるのではなく、再整備期間中も地区全体のにぎわいを保つための重要な拠点として整備された。
2024年10月の北九州市の事業資料では、仮設店舗は26区画で、22店舗が入居していた。業種の内訳は飲食5店舗、野菜4店舗、鮮魚3店舗、惣菜3店舗、精肉2店舗、その他5店舗だった。
この数字は2024年時点の記録であり、2026年11月現在の店舗数を示すものではない。ただし、鮮魚や青果、惣菜、飲食など、従来の市場らしい買い物と食の機能を維持するために設けられたことが分かる。
現在の営業状況を確認するポイント
旦過市場
工事対象区域を除く既存店舗
旦過青空市場
移転店舗・被災店舗などが営業する仮設市場
旦過市場いちばん館
1階は2026年11月24日開業予定。2階は2027年春の一部開業予定
注意したいのは、「市場が営業中」という情報と「すべての店舗が営業中」という情報は同じではないことだ。工事に伴う移転、店舗ごとの休業、定休日などがあるため、特定の店を目当てに訪れる場合は事前確認が欠かせない。
【火災から復旧へ】2022年の2度の大火と旦過市場の再生までの経緯

旦過市場の現在を理解するには、2022年に発生した2度の大規模火災を振り返る必要がある。
最初の火災が発生したのは、2022年4月19日未明。北九州市小倉北区魚町の旦過市場周辺で火災が起き、古い木造建築物が密集する一帯に延焼した。
北九州市長の2022年4月27日の会見では、消防局の集計として焼損店舗43店舗(空き店舗2店舗を含む)、焼損面積1,821平方メートルと説明された。一方、報道では42店舗、約1,900平方メートルという数字も伝えられている。集計対象や表現の違いによるもので、いずれも甚大な被害だったことに変わりはない。
市場関係者が瓦礫の撤去を進め、復旧に向けて動き始めた矢先、同年8月10日夜に再び火災が発生した。
北九州市の2022年8月18日の会見によると、2度目の火災では45店舗が焼損し、被害面積は約3,300平方メートルに及んだ。市長は、古い木造建築物の密集とトタン屋根などの影響により、火の回りが速く消火が困難だったと説明している。
火災から現在までの主な出来事
出典:北九州市の火災関連会見、再整備状況資料、2026年の施設事業者選定資料および報道。
火災後の復旧で重要だった旦過青空市場
2度の火災によって失われた店舗を、すべて従来の場所で営業再開させることは容易ではなかった。被災した建物の撤去や安全確保に加え、再整備工事による移転も必要だったからだ。
そこで北九州市は、被災店舗や移転対象店舗が営業を続けられるよう、仮設店舗を整備した。これが旦過青空市場である。
この仕組みには、単に商店主の営業場所を確保する以上の意味がある。市場は鮮魚店や青果店、惣菜店などが集まって初めて成り立つ。個々の店舗が営業を再開しても、買い物客が戻らなければ市場全体の活気は戻らない。仮設市場は、店舗と顧客のつながりを工事期間中も維持するための受け皿となった。
また、旦過市場商店街は2022年8月の火災後、会長名で支援への感謝と復旧への取り組みを公表している。4月の火災後に寄せられたクラウドファンディングや義援金、店舗への励ましが、復旧に向けた支えになったことも記されている。
【なぜ再整備が必要?】神嶽川の改修と防災を一体で進める理由
旦過市場の再整備は、2022年の火災をきっかけに突然始まった計画ではない。実際には、それ以前から水害や建物の老朽化に対応するためのまちづくりが検討されていた。
特に重要なのが、旦過市場の近くを流れる神嶽川の存在だ。
再整備の出発点は2009年・2010年の水害
北九州市の再整備資料によると、神嶽川では2009年7月と2010年7月の豪雨で水があふれ、旦過市場は2年連続で浸水被害を受けた。
市場の店舗や商品を水害から守るには、建物だけを建て替えても十分ではない。河川の流下能力を高め、周辺の土地利用や施設配置も見直す必要がある。
加えて、旦過地区には古い木造建築物が密集していた。火災が発生した場合に延焼が広がりやすく、建物の老朽化も防災上の課題となっていた。水害と火災という2つのリスクを同時に解消することが、再整備の大きな目的になっている。
神嶽川の改修工事で何が変わる?
北九州市が2026年7月版の再整備リーフレットで示した河川改修計画は、神嶽川の旦過地区約200メートルを対象とするものだ。
神嶽川の主な改修計画
改修対象の延長約200m
河道の幅約19m → 約25m
護岸のかさ上げ約0.8m
河床の掘削約2.0m
出典:北九州市「神嶽川旦過地区の再整備について」(2026年9月16日更新)。
河道を広げ、護岸を高くし、河床を掘り下げることで、川が水を流せる能力を高める計画だ。
この改修と市場の再整備を一体的に進めることが特徴である。市場の敷地だけを整えるのではなく、周辺の河川環境も含めて安全性を向上させる考え方だ。
再整備はいつから計画されていた?
北九州市の資料では、2013年9月に旦過地区まちづくり構想がまとめられた。その後、2015年に整備計画、2016年に基本計画が策定され、2017年には再整備協議会が設立された。
2018年には、北九州市が基盤整備を担い、地元側が建物整備と管理運営を担う方向性が示された。2020年3月に土地区画整理事業の都市計画が決定し、2021年2月10日に事業計画が決定、正式に事業が始まっている。
つまり、旦過市場の再整備は、火災後の単純な復旧工事ではない。以前から抱えていた水害・防火・老朽化の問題を、火災を契機に改めて解決する都市整備事業なのである。
【食べ歩き攻略】旦過市場のおすすめグルメと2026年版マップ
旦過市場の魅力は、観光客向けに整えられた飲食施設だけではない。鮮魚、青果、精肉、惣菜、乾物など、地元の人が日常的に利用する店舗が集まっていることにある。
大正時代に魚の荷揚げ場から始まったとされる市場は、現在も北九州の食文化を感じられる場所だ。市場の中では、昔ながらの惣菜や地元の食材を使った料理に出会える。
まず食べたい旦過市場の定番グルメ
1. 小倉かまぼこのカナッペ
魚のすり身をパンで巻いて揚げた、旦過市場を代表する軽食。持ち歩きやすく、市場散策のお供に向いている。売り切れ次第終了となる場合がある。
2. 九州まぐろの寿司・刺身
天然マグロの寿司や刺身を楽しめる。店舗奥には12席の食事スペースがあり、買い物だけでなく食事目的でも立ち寄れる。
3. 北九州名物のぬか炊き
魚をぬか床と一緒に炊き上げる北九州の伝統料理。サバやイワシなどを使った商品があり、お土産にも適している。
4. 鮮魚・惣菜・季節の食材
鮮魚店や惣菜店を巡り、その日に並ぶ食材から選ぶのも市場ならではの楽しみ。自宅で食べる商品や贈答品を探す人にもおすすめ。
これらのグルメ情報は北九州市の観光情報サイトでも紹介されている。特に小倉かまぼこのカナッペは、売り切れ次第終了となるため、早めの訪問が向いている。
旦過食べ歩きマップ2026年版は何が便利?
北九州市は2026年4月23日、旦過市場商店街と共同で「旦過食べ歩きマップ2026年版」を公開した。
このマップは日本語版だけでなく、英語・韓国語・中国語(簡体字)にも対応している。掲載対象には旦過市場と旦過青空市場の店舗が含まれ、観光客にも店舗の特徴が分かるよう、アイコンを使って案内している。
特に便利なのが、店舗を次の3つの利用方法で探せる点だ。
- 食べ歩きができる店舗
- テイクアウトに対応する店舗
- 店内で食事ができる店舗(イートイン)
工事中の市場では、以前の位置関係だけを頼りにすると、目的の店を探しにくいこともある。2026年版マップを使えば、営業店舗と利用方法を把握しながら散策できる。
ただし、掲載情報は2026年3月末時点。その後の移転や営業時間の変更までは反映されていない可能性がある。
市場の店舗情報と営業時間
旦過市場の公式店舗情報には、海産物、野菜、食肉、惣菜、乾物、果物、飲食店、物販などのカテゴリー別に店舗が掲載されている。
飲食店では、九州まぐろ、北九州名物かしわうどん、旦過うどん、市場寿し、とりかつ丼の黒兵衛などが紹介されている。鮮魚や惣菜を購入するだけでなく、食事を楽しむ選択肢もある。
| 項目 | 目安・内容 |
|---|---|
| 市場全体の営業時間 | 10:00〜18:00 |
| 多くの店舗 | 10:00〜17:00頃 |
| 早い時間から営業する店 | 9:00頃から順次 |
| 定休日 | 店舗ごとに異なる。日曜定休が多い |
| 駐車場 | 市場専用駐車場なし |
営業時間は福岡県観光情報サイトなどに掲載されている市場全体の目安で、すべての店舗に共通するものではない。九州まぐろは9:00〜17:00、小倉かまぼこは9:30〜17:00が案内されている。
【新商業施設の全貌】旦過市場いちばん館はいつオープンする?
2026年の旦過市場で大きな話題となっているのが、新商業施設「旦過市場いちばん館」だ。
北九州市の土地区画整理事業によって整備される4階建ての施設で、既存の市場店舗を受け入れる1階と、新たな飲食機能などを導入する上層階で構成される。
建物は2026年7月末に完成し、8月10日には報道陣に内部が公開された。これまでの市場の雰囲気を残しながら、火災への備えを強化した施設として整備されている。
2026年11月から2027年春までの開業スケジュール
旦過市場いちばん館
4階建て・A地区立体換地建築物
1階:2026年11月24日開業予定
従来の旦過市場で営業してきた店舗を中心とした市場フロア。
3・4階:2026年内開業予定
買い物客や施設利用者のための駐車場フロア。
2階:2027年春に一部開業予定
北九州の食文化を体験できる飲食フロア。約20店舗の誘致計画が報道されている。
出典:北九州市の事業者選定資料、2026年8月の報道。
ここで重要なのは、建物全体が同時に営業開始するわけではないという点だ。2026年11月3日時点では、1階は11月24日の開業を控えており、2階の飲食フロアは2027年春に一部開業する予定となっている。
2階は約600席・4つの食のエリアを計画
2階から4階の管理運営を担う事業者として、北九州市は2026年6月末に大英産業株式会社を優先交渉権者に選定した。9月28日更新の市の公表資料では、買受希望価格は8億1,000万円(税込)、審査評価は100点満点中88.6点だった。応募事業者は1社だった。
大英産業が提案した2階の構想は、飲食比率100%、フロア内約600席という規模。北九州の食文化を体験できる場所として、4つのエリアを設ける計画だ。
広小路エリア
立ち飲みや食べ歩きなど、人々が自然に交流できる市場らしいメインストリート。1階で購入した商品を持ち寄って食べることも想定されている。
裏小路エリア
老舗や名店が集まる落ち着いた空間。目的の店を訪れる楽しみを意識した構成。
広場エリア
オープンキッチンで料理の様子を見ながら食事を楽しめるエリア。家族連れにも配慮した構想。
寄せ場エリア
短期出店や学生プロジェクトなど、新しい挑戦を応援するスペース。
これらは大英産業の事業提案に基づく計画であり、すべての店舗の出店が確定しているという意味ではない。実際のテナント構成や営業開始日は、今後の発表を確認する必要がある。
新施設の防火対策にも注目
2022年に2度の大火を経験した旦過市場にとって、新施設の防火性能は要点だ。
2026年8月の施設公開時の報道によると、館内の廊下や店舗などにはスプリンクラーが設置され、入口には防火シャッターが設けられている。
単に新しい飲食店を集めるだけでなく、安全性を備えた市場へ移行することも、この施設の大きな役割となっている。
【アクセス・営業時間】旦過市場への行き方と訪問前の注意点
旦過市場は北九州市小倉北区魚町4丁目に位置し、北九州モノレールの旦過駅からアクセスしやすい場所にある。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | 旦過市場 |
| 所在地 | 福岡県北九州市小倉北区魚町4-2-18 |
| 営業時間の目安 | 10:00〜18:00 |
| 定休日 | 店舗ごとに異なる |
| 最寄り駅 | 北九州モノレール旦過駅 |
| JRからのアクセス | 小倉駅から徒歩約10分 |
| 駐車場 | 専用駐車場なし |
出典:福岡県観光情報サイト、北九州市観光情報。
交通手段別のアクセス
- 北九州モノレール:旦過駅で下車。市場まで徒歩ですぐ。
- JR:小倉駅から徒歩約10分。
- バス:西鉄バス「旦過橋クエスト前」停留所を利用する方法がある。
- 車:北九州都市高速の勝山ランプから約5分。市場専用駐車場はないため、周辺の有料駐車場を利用する。
市場内をゆっくり歩きたい場合は、公共交通機関がおすすめだ。特に土日や観光シーズンは、周辺道路や駐車場の混雑も考慮したい。
訪問するなら何時がおすすめ?
初めて訪れるなら、午前10時から昼過ぎまでの時間帯が候補になる。鮮魚や惣菜などを見比べやすく、食べ歩きの選択肢も比較的確保しやすい。
一方、午後遅くなると売り切れる商品もある。カナッペなど数量に限りがある商品を目当てにする場合は、早めに訪れたい。
また、日曜日は休業する店舗が多い。市場全体が一斉に休みになるという意味ではないが、目当ての店舗があるなら曜日を含めて確認しておくと安心だ。
【よくある質問】旦過市場の現在・営業状況・観光について
Q1:旦過市場は2026年11月現在も営業していますか?
A1:営業しています。再整備工事の対象区域を除き、旦過市場と旦過青空市場では店舗が営業を続けています。ただし、店舗ごとに営業時間や休業日が異なります。
Q2:旦過青空市場はどこにあり、何を買えますか?
A2:旦過地区の再整備区域に隣接して設けられた仮設市場です。鮮魚、野菜、惣菜、精肉、飲食などの店舗が入居してきました。2026年版の食べ歩きマップにも掲載されています。
Q3:2022年の火災で旦過市場は全焼したのですか?
A3:市場全体が全焼したわけではありません。2022年4月と8月に2度の大規模火災が発生し、周辺の多数の店舗が焼損しましたが、被害を免れた店舗などは営業を続け、仮設市場も整備されました。
Q4:旦過市場いちばん館はいつオープンしますか?
A4:2026年11月24日に1階が開業予定です。3・4階の駐車場は2026年内、2階の商業フロアは2027年春の一部開業が予定されています。施設全体が同日にオープンするわけではありません。
Q5:旦過市場の食べ歩きでおすすめのグルメは何ですか?
A5:小倉かまぼこのカナッペ、九州まぐろの寿司や刺身、北九州名物のぬか炊きなどがおすすめです。2026年版食べ歩きマップを使えば、食べ歩き・テイクアウト・イートインに対応する店舗を探せます。
Q6:旦過市場の最寄り駅と営業時間を教えてください。
A6:北九州モノレールの旦過駅が最寄り駅です。市場全体の営業時間の目安は10時から18時ですが、店舗によって異なります。日曜日は休業する店舗が多いため、訪問前の確認がおすすめです。
まとめ:旦過市場は営業を続けながら次の100年へ
2026年11月現在、旦過市場は営業を続けており、旦過青空市場も再整備期間中の営業拠点として機能している。2022年の2度の大規模火災を経験した市場は、単なる元の姿への復旧ではなく、防災と治水を組み合わせた新しいまちづくりへ進んでいる。
今回の再整備で特に注目したいのは、次の3点だ。
- 営業の継続:既存の市場と仮設市場で買い物や食事を楽しめる。
- 防災機能の強化:神嶽川の河川改修と市場施設の再整備を一体的に進めている。
- 新しいにぎわい:旦過市場いちばん館の1階が2026年11月24日に開業予定で、2階の飲食フロアは2027年春の一部開業を予定している。
訪問を考えている人は、2026年版食べ歩きマップを活用し、店舗の営業時間と工事区域を確認してから出かけるとよい。特に11月下旬以降は新施設の1階開業によって、市場の景色がまた一段階変わることになる。
火災からの復旧、水害への備え、伝統的な市場文化の継承。そして新しい飲食空間の誕生。旦過市場の再整備は、北九州の食文化を次の世代へつなぐための大きな転換点を迎えている。
主な参考資料
- 北九州市「神嶽川旦過地区の再整備について」(2026年9月16日更新)
- 北九州市「航空写真で見る旦過地区の再整備状況」(2026年6月11日更新)
- 北九州市「旦過食べ歩きマップ2026年版」(2026年4月23日公開)
- 北九州市「旦過市場いちばん館の優先交渉権者決定」(2026年9月28日更新)
- 北九州市「旦過市場の再整備に向けて」(2026年3月9日)
- 旦過市場商店街公式店舗情報
- TNCテレビ西日本「旦過市場いちばん館」施設公開報道(2026年8月10日)