2026年の横浜美術館で、特に注目を集めているのが「マリー・アントワネット・スタイル」展です。
会期は2026年8月1日~11月23日(月・祝)。横浜美術館とロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)、読売新聞社、日本テレビ放送網が主催する大型企画展です。
マリー・アントワネットのファッションが現代につながる理由
マリー・アントワネット(1755~1793年)は、オーストリア生まれでフランス王妃となった歴史上の人物です。
この展覧会の面白さは、王妃の肖像や豪華な衣装を並べるだけではないところにあります。
18世紀の宮廷文化から、その後のファッション、インテリア、デザイン、映画にまで広がった影響を「スタイル」という切り口で読み解いています。
公式展示情報で紹介されている主な作品には、次のようなものがあります。
- 《コートドレスのマリー・アントワネット》:フランソワ=ユベール・ドルーエが1773年に描いた肖像画。
- 《ローブ・ア・ラ・フランセーズ》:1760年代にフランスで製作され、1770年代に加工されたドレス。
- 「サザーランド・ダイヤモンド」:1780年代にネックレスへ加工された宝飾品。
- 《ローブ・ド・スティル》:ジャンヌ・ランバンが1922~23年頃に制作したイヴニングドレス。
- ジョルジュ・バルビエの挿絵本:1924年の流行年鑑に掲載されたファッション関連作品。
いずれもV&A所蔵の作品として紹介されています。
展覧会の見どころは歴史と現代ファッションの接点
マリー・アントワネットの魅力を考えるうえで興味深いのは、彼女が単なる王室の人物ではなく、時代の美意識を形づくったファッションアイコンとして扱われている点です。
衣装のシルエットや装飾、宝飾品、室内装飾を見比べると、当時の宮廷文化が後世のデザインに与えた影響を具体的に感じられます。
ファッション好きはもちろん、歴史や映画、美術に興味がある人にも楽しめる構成です。
【国際的に注目】毛利悠子「Recompose」は何がすごい?

もう一つ見逃せないのが、現代美術家・毛利悠子による「Recompose」です。
正式名称は「毛利悠子 Recompose — 第60回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館帰国展」。
会期は2026年7月24日~11月23日(月・祝)、会場は横浜美術館のギャラリー9です。しかも、観覧料は無料です。
2024年ヴェネチア・ビエンナーレから横浜へ
毛利悠子は1980年神奈川県生まれのアーティストです。
2024年の第60回ヴェネチア・ビエンナーレでは、日本館代表作家として個展「Compose」を開催。国際的なメディアでも取り上げられた作品群が、約2年を経て横浜に帰ってきました。
今回の展示は、単純な作品の再展示ではありません。
ヴェネチアで発表された作品を、横浜美術館の空間に合わせて再構成するという意味が「Recompose」というタイトルに込められています。
注目作品は「モレモレ」と「Decomposition」
展示の中心となるのは、水の循環や変化を扱った二つのシリーズです。
1.モレモレ(Moré Moré[Leaky])
東京の地下鉄構内で発生する水漏れと、それを駅員が身近な道具で対処する光景から着想を得た作品です。
さまざまな日用品を組み合わせ、即興的な水の循環システムを構築します。
普段なら見過ごしてしまう水漏れという現象が、作品になることで新しい表情を見せます。
2.Decomposition
こちらは果物をモチーフにしたシリーズです。
果物に電極を取り付け、水分量の変化に応じて不規則な音や光を発生させます。
時間とともに果物が朽ちていく過程そのものが、作品の一部になるという発想が特徴です。
なぜ横浜美術館で見る価値があるのか
今回の会場となるギャラリー9は、大規模改修を機に新設されたガラス張りの展示室です。
自然光や美術館前の公園の風景を取り込む空間と、環境によって変化する毛利の作品との相性が見どころになっています。
また、展示には「共存」「共生」というテーマも通底しています。
異なる物質や環境が関わり合い、予測できない現象を生み出す。その姿を通して、分断されがちな世界における他者との関係を考えさせる構成です。
2026年の作家略歴には、カルダー賞の受賞も記載されています。国際的な評価が高まる毛利の作品を、出身地である神奈川で鑑賞できることも今回の展示の特徴です。
【コレクション展】「海をこえてゆく彼女」は女性アーティストの軌跡に注目
企画展と合わせて楽しみたいのが、コレクション展「海をこえてゆく彼女/ハイライト」です。
会期は2026年8月1日~2027年2月11日(木・祝)。企画展よりも長く開催されるため、11月23日以降も鑑賞できる展覧会です。
ただし、2026年11月24日~12月10日は閉室期間となっています。
国境を越えて活動した女性たちの表現
この展示のテーマは、20世紀以降、国境を越えて活動してきた女性アーティストたちです。
海外文化との出会い、異なる土地での創作、国際的な美術展への参加など、女性たちがどのように表現の可能性を広げてきたかをたどります。
注目したい作家には、次のような人物がいます。
- 吉田ふじを:1906年の水彩作品《伊国ヴェニス市 ドーヂの宮殿》を展示。
- ヘレン・ハイド:1908年の木版作品《かたこと》を紹介。
- 榎本和子:1951年の油彩作品《記憶の時》が登場。
- 桂ゆき:1950年の油彩作品《飛ぶ》を展示。
- 草間彌生:ヴェネチア・ビエンナーレに関係する女性作家の一人として紹介。
特に注目したいのは、海外との交流が個々の作家の表現にどのような変化をもたらしたのかという点です。
ハイライト展示ではダリやマグリットも
女性作家の特集だけでなく、横浜美術館のコレクションを代表する作品を紹介するハイライトコーナーも設けられています。
主な作家は以下のとおりです。
- サルバドール・ダリ
- ルネ・マグリット
- メレット・オッペンハイム
- パブロ・ピカソ
- 奈良美智
- 草間彌生
ルネ・マグリットの《王様の美術館》や、初公開となる草間彌生の寄託作品も見どころです。
約15,000点を所蔵する横浜美術館のコレクションから、テーマに合わせて作品を選び直している点にも注目できます。
【2026年版比較表】3つの展覧会の会期・料金・見どころ一覧
2026年秋の横浜美術館では、企画展とコレクション展を組み合わせて楽しめます。
それぞれの展示には異なる目的があり、料金体系も異なります。
| 展示・関連エンティティ | 会期 | 一般料金 | 主な見どころ |
|---|---|---|---|
| マリー・アントワネット・スタイル | 8月1日~11月23日 | 2,500円 | 王妃の衣装、宝飾品、ファッション史 |
| 毛利悠子 Recompose | 7月24日~11月23日 | 無料 | 水、光、音、インスタレーション |
| 海をこえてゆく彼女/ハイライト | 8月1日~2027年2月11日 | 500円 | 女性作家の国際的な活動、名品 |
| コレクション展(じゆうエリア) | 8月1日~2027年2月11日 | 無料 | グランドギャラリーの彫刻、ガラス作品 |
※料金は税込。マリー・アントワネット展の一般料金は前売2,300円、コレクション展は有料20名以上の団体料金400円。じゆうエリアのコレクション展は無料です。
展示同士の関係を理解すると、鑑賞がもっと面白くなる
今回の展覧会は、それぞれ独立しているようでいて、共通するテーマを持っています。
| 主体 | 関係する人物・施設 | 展示上のつながり |
|---|---|---|
| マリー・アントワネット展 | ヴィクトリア&アルバート博物館 | 18世紀の宮廷文化と現代ファッションの関係 |
| 毛利悠子展 | 第60回ヴェネチア・ビエンナーレ | 国際展で発表された作品の日本への帰還 |
| 海をこえてゆく彼女 | 草間彌生、田中敦子、石内都、やなぎみわなど | 女性作家の国際的な活動と表現 |
| 横浜美術館 | 横浜市、公益財団法人横浜市芸術文化振興財団 | 収蔵作品と国内外の現代美術をつなぐ文化拠点 |
編集上の注目点は、3つの展示を「時代・国境・素材」という異なる視点から見比べられることです。
マリー・アントワネット展は歴史とファッション、毛利悠子展は現代社会と自然現象、コレクション展は国際的な移動と女性の創作活動を扱っています。
単に人気の展覧会を見て回るだけではなく、美術表現が時代や場所によってどう変わるのかを比較できるのが、2026年秋の大きな魅力です。
【訪問前に確認】横浜美術館の開館時間・休館日・観覧料
横浜美術館を訪れる前に、営業時間と休館日を確認しておきましょう。
開館時間
通常の開館時間は次のとおりです。
通常開館時間10:00~18:00
最終入館
17:30
通常休館日
木曜日・年末年始
展覧会によって開館日・時間が異なる場合があります。
2026年11月は、以下の日程で20時までの夜間開館が予定されています。
- 11月2日(月)
- 11月7日(土)
- 11月14日(土)
- 11月20日(金)
- 11月21日(土)
- 11月22日(日)
夜間開館日の最終入館は19時30分です。
なお、11月2日・7日・14日・20日は、ミュージアムショップとカフェが18時に閉店する案内も出ています。展示を遅い時間に楽しむ場合は、ショップや飲食施設の営業時間と分けて計画しましょう。
休館日は木曜日が基本
通常の休館日は木曜日と年末年始です。
ただし、展覧会ごとに例外があります。
例えば、マリー・アントワネット展では8月13日、9月24日、11月19日は木曜日でも開館します。
また、コレクション展は2026年12月29日~2027年1月3日も休館予定です。
年末年始や特定の木曜日に訪問する場合は、展覧会別のスケジュールを確認してください。
展覧会別の観覧料
料金は展示ごとに異なります。
| 区分 | マリー・アントワネット展 | コレクション展 |
|---|---|---|
| 一般 | 2,500円 | 500円 |
| 大学生 | 1,600円 | 300円 |
| 中学・高校生 | 1,000円 | 100円 |
| 小学生以下 | 無料 | 無料 |
毛利悠子展とじゆうエリアのコレクション展は無料です。
特に覚えておきたいのが、マリー・アントワネット展のチケットを購入すると、観覧当日に限り「海をこえてゆく彼女」も鑑賞できるという点です。
別々にチケットを購入する必要がないため、2つの展示を楽しみたい人には便利な仕組みです。
一方、毛利悠子展は独立した無料展示なので、企画展のチケットを購入しなくても鑑賞できます。
【アクセスガイド】みなとみらい駅徒歩3分・無料エリア・駐車場
横浜美術館は、みなとみらい21地区の中心部にあります。
電車でのアクセスが便利なほか、無料で利用できる空間が充実していることも特徴です。
みなとみらい駅からのアクセス
最寄り駅は、みなとみらい線の「みなとみらい」駅です。
- みなとみらい駅: 3番出口からマークイズみなとみらいのグランドガレリア経由で徒歩約3分。
- 桜木町駅: JR京浜東北・根岸線、横浜市営地下鉄の駅から動く歩道を利用して徒歩約10分。
みなとみらい駅からは、マークイズみなとみらいを経由するルートが便利です。
桜木町駅からも徒歩圏内なので、横浜観光や周辺施設との組み合わせにも向いています。
グランドギャラリーと「じゆうエリア」は無料で楽しめる
横浜美術館を訪れるなら、ぜひ立ち寄りたいのがグランドギャラリーを中心とする「じゆうエリア」です。
このエリアは、誰もが気軽に美術館を利用できるように設けられた無料空間です。
企画展のチケットを持っていなくても入場でき、建築や所蔵作品を楽しめます。
主な見どころは次のとおりです。
1.グランドギャラリーの大階段
左右に広がる大階段と、ガラス張りの天井が印象的な空間です。
天井の開閉式ルーバーから自然光が入り、時間や季節によって異なる表情を見せます。階段の踊り場には彫刻作品が展示されています。
2.まるまるラウンジ
オリジナルデザインの丸いテーブルや椅子が置かれた休憩スペースです。
併設カフェの飲み物を楽しんだり、建築や作品を眺めながら過ごしたりできます。
3.3階回廊のガラス作品
3階回廊の無料エリアでは、ガラスを素材とする作品も鑑賞できます。
スタニスラフ・リベンスキーとヤロスラヴァ・ブリフトヴァによる《アーチ雲》、生田丹代子による《揺-21》などが展示されています。
無料エリアの魅力は、美術館を特別な鑑賞目的がある人だけの場所にしないことです。
展覧会を見なくても立ち寄れるため、みなとみらいでの散策途中に休憩したい人や、子ども連れにも利用しやすい空間になっています。
横浜美術館の駐車場情報
車で訪れる場合は、館内の駐車場を利用できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 収容台数 | 157台 |
| 屋内駐車場 | 107台 |
| 屋外駐車場 | 50台 |
| 営業時間 | 10時~21時 |
| 最初の90分 | 500円 |
| 以降の料金 | 30分ごとに250円 |
| 休業日 | 木曜日・年末年始 |
利用時には、次の点にも注意してください。
- 21時になると駐車場は完全閉鎖され、翌朝10時まで出庫できません。
- 車両の高さ制限は全体で2.6mまで、屋内駐車場は2.1mまでです。
- 車幅制限は2.5mまでです。
- 障がい者手帳を提示した美術館利用者は、最初の90分が無料になります。
駐車場は157台分ありますが、大型展覧会の開催期間中は混雑する可能性があります。公共交通機関を利用できる場合は、みなとみらい駅からの徒歩ルートが便利です。
リニューアルオープンで何が変わった?
横浜美術館は、2020年度末から大規模改修工事のため休館していました。
その後、2024年3月15日に第8回横浜トリエンナーレの開幕とともにリニューアルオープン。さらに2025年2月8日には、記念展「おかえり、ヨコハマ」の開幕とともに全館オープンを迎えました。
この2つの日付は意味が異なります。2024年は活動再開、2025年は全館での本格的な再始動です。
リニューアルの大きな特徴は、グランドギャラリーを中心とした無料の「じゆうエリア」の拡充です。
建築家・丹下健三が設計した大空間の可能性を生かし、作品鑑賞だけでなく、休憩や交流にも使える場所へと再構成されました。
また、サインや家具なども見直され、来館者が使いやすい環境づくりが進められています。
横浜美術館は、企画展を鑑賞するためだけの施設から、日常的に立ち寄れる文化施設へと利用の幅を広げています。
【よくある質問】横浜美術館に関するFAQ
Q1:横浜美術館の2026年11月のおすすめ展覧会は何ですか?
「マリー・アントワネット・スタイル」と「毛利悠子 Recompose」が特に注目されています。どちらも2026年11月23日まで開催予定です。女性アーティストの作品や美術館の名品を楽しみたい場合は、「海をこえてゆく彼女」もおすすめです。
Q2:横浜美術館は入場無料ですか?
グランドギャラリーを中心とする「じゆうエリア」は無料です。毛利悠子展も無料で鑑賞できます。一方、「マリー・アントワネット・スタイル」や「海をこえてゆく彼女」の展示室には、それぞれ所定の観覧料が必要です。
Q3:横浜美術館の最寄り駅はどこですか?
みなとみらい線のみなとみらい駅です。3番出口からマークイズみなとみらいのグランドガレリアを経由して徒歩約3分です。JR・横浜市営地下鉄の桜木町駅からは徒歩約10分です。
Q4:横浜美術館の休館日はいつですか?
基本的には木曜日と年末年始です。ただし、展覧会によって開館する木曜日や臨時の閉室期間があるため、訪問前に公式スケジュールを確認してください。
Q5:横浜美術館に駐車場はありますか?
157台収容の駐車場があります。料金は最初の90分が500円、その後は30分ごとに250円です。営業時間は10時~21時で、21時以降は翌朝10時まで出庫できません。
Q6:企画展のチケットでコレクション展も見られますか?
「マリー・アントワネット・スタイル」の観覧券があれば、観覧当日に限り「海をこえてゆく彼女」も鑑賞できます。毛利悠子展は無料なので、別途チケットを購入する必要はありません。
まとめ:2026年の横浜美術館は無料エリアも含めて楽しみたい
2026年の横浜美術館は、「マリー・アントワネット・スタイル」「毛利悠子 Recompose」「海をこえてゆく彼女」という個性の異なる展示がそろい、美術の楽しみ方を広げてくれるシーズンです。
特に11月23日までの2つの企画展は、会期終了が近づいています。歴史的なファッションや宝飾品に関心があるならマリー・アントワネット展、現代美術や音・光・自然現象に興味があるなら毛利悠子展がおすすめです。
また、展示室に入らなくても、グランドギャラリーやじゆうエリアで作品と建築を楽しめます。みなとみらい駅から徒歩約3分というアクセスのよさも魅力です。
訪問時には、開館時間、休館日、展覧会ごとの観覧料を確認し、無料エリアも含めて計画を立てると、横浜美術館の魅力をより幅広く味わえます。
2025年の全館リニューアルオープンを経て、新しい文化交流の場として歩みを進める横浜美術館。2026年の展覧会をきっかけに、みなとみらいで芸術に触れる時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。