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セミの抜け殻は何のため?羽化の仕組み・種類の見分け方・保存法を徹底解説【2026年版】

御厨 美冬 御厨 美冬 • 更新: • 公開: • 読了約 26 分
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木の幹や葉の裏に、しがみつくように残された茶色いセミの抜け殻。夏の公園や庭先で見かける身近な存在ですが、その小さな殻には、セミが長い幼虫時代を終えて成虫になるまでの成長の記録が残されています。セミの抜け殻とは、幼虫が最後の脱皮である「羽化」を終えたときに残す外骨格です。中身が空になっても脚や触角まで形が残り、種類によって大きさや細かな構造が異なります。

2026年8月には、環境省の皇居外苑ニュースでもセミの羽化が紹介されました。羽化直後の白く透き通った体や青い翅が時間とともに色づき、最後には抜け殻だけが木に残る様子が記録されています。アブラゼミ、ミンミンゼミ、クマゼミなどの見分け方から、発見しやすい時期と場所、観察時の注意点、家庭でできる保存方法まで、セミの抜け殻を深く理解するための知識を整理します。

【基礎知識】セミの抜け殻とは?なぜ木に残されているのか

セミの抜け殻

抜け殻の正体は幼虫時代の外骨格

セミの抜け殻は、昆虫の体を外側から支える外骨格が、最後の脱皮によって残されたものです。一般に「セミの抜け殻」と呼ばれますが、生物学的には脱皮殻にあたります。

昆虫の体は、人間のように骨格が体内にあるのではなく、外側の硬い構造によって形を保っています。この外骨格は体を支えるとともに、外部からの刺激や傷から身を守る役割も担っています。

しかし、硬い外骨格はそのままでは体の成長に合わせて大きくなりません。そのため、セミは成長の過程で何度か脱皮を繰り返します。最後の脱皮によって幼虫の姿から成虫の姿へ移行することを羽化といいます。

羽化が終わると、幼虫時代の外骨格だけがその場に残ります。これが、木や草にしがみついたような状態で見つかるセミの抜け殻です。

セミはさなぎにならない昆虫

セミはカメムシ目に分類される昆虫で、卵、幼虫、成虫という段階を経て成長します。この成長方法は「不完全変態」と呼ばれます。

チョウやカブトムシのように、幼虫からさなぎを経て成虫になる完全変態とは異なり、セミにはさなぎの段階がありません。幼虫の姿のまま土の中で成長し、最後の脱皮で成虫になります。

札幌市博物館活動センターの解説でも、セミは木の樹皮や枯れ枝などに産み付けられた卵からかえり、幼虫が地中に潜って木の根から樹液を吸いながら成長すると説明されています。

抜け殻が持つ役割は大きく分けて2つ

セミの抜け殻には、成長の仕組みを理解するための役割と、自然観察に役立つ役割があります。

最初に、脱皮前の外骨格は幼虫の体を支え、保護する重要な構造です。成長に合わせて古い外骨格を脱ぎ、新しい体を形成することで、幼虫は成虫へと変化できます。

一方、羽化後に残った抜け殻は、セミがその場所で羽化したことを示す自然の記録になります。成虫は飛び去ってしまうため、その地域にどの種類のセミが発生しているかを調べる資料として、抜け殻は非常に有用です。

抜け殻そのものが成虫の成長を助け続けるわけではありません。しかし、種類や数、発見場所を記録すれば、地域の昆虫相や季節ごとの変化を調べる手掛かりになります。

【成長の秘密】セミの幼虫から成虫へ!羽化の仕組みを解説

土の中で長い時間を過ごすセミの幼虫

セミの一生は、木の枝や樹皮などに産み付けられた卵から始まります。卵からかえった小さな幼虫は地面に落ち、土の中へ潜っていきます。

地中で暮らす幼虫は、木の根から樹液を吸収して成長します。地上で鳴いている成虫とは違い、幼虫時代の大部分は土の中で過ごすため、普段の生活を目にする機会はほとんどありません。

幼虫として過ごす期間は種類や環境によって異なります。日本のセミをすべて「地中で7年間過ごす」と説明するのは正確ではありません。環境省北海道地方環境事務所の解説では、国内のセミの幼虫期間は、およそ1年程度の種類から長いもので5年程度とされています。

また、種類によっては幼虫期間の詳細が十分に分かっていないものもあります。地中での生活は、セミの生態の中でもまだ解明が進められている部分です。

羽化は夕方から夜にかけて始まる

成長した幼虫は、羽化の時期が近づくと地面に穴を開け、地上へ出てきます。その後、木の幹や枝、周囲の草などを登り、羽化に適した場所を探します。

セミが夜間に羽化することが多いのは、体がまだ十分に硬くなっておらず、外敵に襲われる危険が高いためです。暗くなってから羽化することで、日中に比べて身を隠しやすくなります。

一般的には夕方から夜、そして明け方にかけて羽化が見られます。ただし、環境や個体によって時間は異なり、日中に羽化する例もあります。

背中が割れて成虫が現れるまでの流れ

羽化は、幼虫の背中に縦方向の裂け目ができるところから始まります。その隙間から成虫の頭部や胸部が現れ、少しずつ体を抜き出していきます。

このとき、セミは古い抜け殻に前脚を掛け、体を反らせながら外へ出ます。全身が一気に抜けるわけではなく、腹部の一部を殻に残した状態でぶら下がる時間があります。

新しい脚が安定すると、セミは姿勢を起こし、残っている腹部を殻から引き抜きます。その後、折りたたまれていた翅を伸ばしていきます。

羽化直後のセミは、体も翅も柔らかく、色もまだ十分に出ていません。時間が経過するにつれて体が硬くなり、色や模様がはっきりしてきます。

大阪府の万博記念公園が公開している観察解説でも、背中の裂け目から成虫が現れ、前脚や後脚を抜き、最後に腹部を引き出して翅を伸ばす一連の過程が紹介されています。

2026年にも記録された羽化直後の美しい姿

2026年8月12日付の環境省・皇居外苑ニュースでは、同年8月4日に北の丸公園で観察されたセミの羽化が紹介されました。

羽化直後のセミは、白く透き通るような体と鮮やかなコバルトブルーの翅を見せていました。その後、時間の経過とともに体や翅に色が付き、最後には成虫が飛び立って、木には抜け殻だけが残りました。

この記録は、普段何気なく目にする抜け殻が、実際には数時間にわたる大きな変化の結果として残されたものだと教えてくれます。

【発見ガイド】セミの抜け殻が見つかる時期と場所は?

見つかりやすい時期は6月から9月ごろ

セミの抜け殻が見つかる時期は、地域や種類によって異なります。日本ではおおむね初夏から初秋にかけて羽化する種類が多く、6月から9月ごろが主な観察シーズンです。

特に7月から8月は、アブラゼミやミンミンゼミ、クマゼミなどの羽化が見られる時期と重なり、抜け殻を探しやすくなります。

ただし、すべてのセミが同じ時期に羽化するわけではありません。北海道や東北のような寒冷地域と、関東以西の温暖な地域では発生時期に違いがあり、標高や周囲の環境によっても変化します。

種類ごとの発生時期の目安

環境省の自然環境保全基礎調査などで紹介されている発生時期を参考にすると、代表的な種類には次のような傾向があります。

  • ニイニイゼミ:6月から9月ごろ。比較的早い時期から見られる。
  • アブラゼミ:7月から10月ごろ。夏の長い期間にわたって見つかる。
  • ミンミンゼミ:7月から8月ごろ。夏の盛りに観察しやすい。
  • クマゼミ:7月から9月ごろ。主に平地を中心に発生する。

これらは全国一律の発生カレンダーではありません。実際の羽化時期は、その年の気温や地域の気候、生息環境によって前後します。

抜け殻がよく見つかる場所は木の幹だけではない

セミの抜け殻を探すとき、最初に確認したいのは樹木の幹です。幼虫は地上に出た後、羽化に適した場所を探して木を登るため、幹には抜け殻が残りやすくなります。

ただし、木の幹だけを見ていても、すべての抜け殻を見つけられるわけではありません。セミは周囲の植物や人工物にも登ることがあります。

  • 木の幹:最も基本的な探索場所。特に地面から低い位置を確認する。
  • 枝や葉の裏:葉の陰や枝の付け根に残っていることがある。
  • 低木や生け垣:庭木や公園の植え込みも見逃せない。
  • 草むら:木が少ない場所でも、周囲の草に登って羽化する場合がある。
  • フェンスや建物の壁:木以外の人工物に付いていることもある。

環境省の皇居外苑の観察記録では、アブラゼミの抜け殻が樹木だけでなく石碑や建物などでも見つかったことが紹介されています。ミンミンゼミは葉の裏側で見つかることもあり、視線を上下に動かしながら探すのが効果的です。

羽化したばかりの幼虫を探すなら地面にも注目

抜け殻だけでなく、羽化する前の幼虫を見つけたい場合は、木の周囲の地面も観察しましょう。

セミの幼虫が地上へ出てきた場所には、小さな穴が残っていることがあります。抜け殻が複数見つかる木の周辺は、幼虫が羽化場所として利用している可能性があります。

ただし、地面の穴がすべてセミの幼虫のものとは限りません。穴だけで種類や個体数を判断せず、周囲の環境や実際に見つかった幼虫、抜け殻と合わせて観察することが大切です。

【種類別比較】アブラゼミ・ミンミンゼミ・クマゼミの抜け殻の見分け方

セミの抜け殻は、どれも茶色く、似たような形をしています。しかし、よく観察すると種類ごとに違いがあります。

特に重要なのは、大きさ、触角の形状、毛の量、体表の特徴です。アブラゼミとミンミンゼミのように見た目がよく似た種類は、触角を拡大して比較すると判別しやすくなります。

代表的なセミの抜け殻の比較一覧

種類 抜け殻の特徴 見分けるポイント 発生時期の目安
アブラゼミ 比較的大きく、茶色で毛が多い 触角の第3節が第2節より長い。触角は7節 7月〜10月
ミンミンゼミ アブラゼミによく似ているが、やや細身 触角の第3節と第2節がほぼ同じ長さ。毛が少なく細い 7月〜8月
クマゼミ 他の代表的な種類より大きい 触角は8節で毛が少ない。頭部に特徴的な突起がある 7月〜9月
ニイニイゼミ 小型で丸みがあり、泥が付着している 全身が泥に覆われていることが多い 6月〜9月

この比較は、環境省の自然環境保全基礎調査、町田市のセミの抜け殻判別資料、松本市の自然観察資料などを参考に整理したものです。大きさや発生時期は地域差があるため、触角など複数の特徴を組み合わせて判別するのが確実です。

アブラゼミの抜け殻は触角の毛と節の長さが決め手

アブラゼミの抜け殻は、身近な公園や庭先でも比較的よく見つかります。

茶色く、全体的にしっかりした印象があり、触角には細かな毛が多く生えています。判別するときに特に注目したいのが、触角の根元から数えて第3節です。

アブラゼミでは、この第3節が第2節よりも長いという特徴があります。また、触角の節は比較的太く、目と目の間にある額の部分が濃い茶色を帯びる傾向があります。

大きさや色だけで決めつけず、触角を確認することが種類の特定につながります。

ミンミンゼミの抜け殻はアブラゼミとの比較が重要

ミンミンゼミの抜け殻は、アブラゼミと非常によく似ています。そのため、見た目の印象だけでは間違えやすい種類です。

最大の違いは触角にあります。ミンミンゼミは触角の毛が少なく、節も細めです。根元から数えて第3節は第2節とほぼ同じ長さになっています。

アブラゼミとミンミンゼミの抜け殻を並べて比較すると、この違いが分かりやすくなります。ルーペを使えば、肉眼では見落としやすい触角の節や毛の状態まで確認できます。

また、環境省の皇居外苑の観察資料では、ミンミンゼミの抜け殻はアブラゼミよりも葉の裏側で見つかることが多いという観察傾向も紹介されています。

クマゼミの抜け殻は大きさで見分けやすい

クマゼミの抜け殻は、代表的なセミの中でも特に大きく、見分けやすい種類です。

頭部や胸部が大きく、ほかの種類と比べると全体に迫力があります。触角は8節で、毛が少ないことも特徴です。

クマゼミは本州から南西諸島に分布し、主に平地で見られます。環境省の自然環境保全基礎調査では、従来の分布域から北へ広がる傾向を示す記録も紹介されています。

特に都市部の公園や住宅地など、樹木がある平地で見つかる可能性があります。ただし、地域によって生息状況は異なります。

ニイニイゼミは泥だらけの小さな抜け殻

ニイニイゼミは、ほかの種類と比べて小さく、丸みを帯びた抜け殻が特徴です。体全体に泥が付着しているため、比較的簡単に見分けられます。

木の根元付近など、低い位置で見つかることが多く、樹皮の模様に紛れている場合もあります。

セミの抜け殻を初めて観察する人にとっては、泥の有無と大きさを手掛かりに判別できる、分かりやすい種類です。

【観察方法】セミの抜け殻を安全に見つけるコツと注意点

昼間に場所を下見しておく

セミの抜け殻を探すなら、まず昼間に公園や庭の木を観察しておきましょう。

抜け殻が複数付いている木や、周辺の地面に幼虫が出てきたような穴がある場所を見つけておくと、夕方からの観察が効率的になります。

木の幹だけでなく、枝の付け根、低木、葉の裏側なども確認しておきます。羽化する幼虫は、地面から比較的低い場所にも現れるため、目線を下げることも大切です。

夕方から夜にかけて羽化を観察する

羽化の瞬間を見たい場合は、夕方から夜にかけて現地を訪れるのが基本です。特に日没前後から21時ごろまでは、地面から出てきた幼虫や木を登る幼虫を探す機会があります。

羽化する場所が決まると、幼虫は木や草に脚を掛けて動かなくなります。その後、背中が割れて成虫が現れるまで、静かに観察を続けましょう。

羽化には時間がかかるため、短時間で結果を求めず、落ち着いて見守る姿勢が必要です。

観察時に守りたい5つの注意点

  • 羽化中のセミに触れない:体や翅が柔らかく、触れると翅が正常に広がらなくなるおそれがある。
  • 幼虫を踏まない:地面を歩いて羽化場所を探している幼虫がいるため、足元を確認する。
  • 強い光を当て続けない:懐中電灯は足元の安全確認に使い、幼虫を長時間直接照らさない。
  • 夜間は大人と行動する:子どもだけで暗い公園や林に入らない。
  • 周囲の環境を傷つけない:枝を折ったり、木の皮を剥がしたりせず、施設の採集ルールを守る。

特に注意したいのは、羽化中のセミを助けようとして触ってしまうことです。殻から体を抜き出す過程は、セミにとって非常に繊細な時間です。落ちそうに見えても、むやみに手を出さず、まずは自然に羽化できるか見守りましょう。

自由研究では観察記録を残す

セミの抜け殻は、夏休みの自由研究にも適した題材です。単に集めるだけでなく、発見した場所や時期、種類を記録すると、自然環境について考える材料になります。

例えば、同じ公園内で木の種類や場所を変えて抜け殻の数を比較すれば、どのような環境で羽化が多く見られるかを調べられます。

記録しておきたい項目は次のとおりです。

  • 観察した年月日と時間
  • 発見した場所や周囲の環境
  • 抜け殻が付いていた植物や人工物
  • 地面からのおおよその高さ
  • 抜け殻の大きさと色
  • 触角や前脚などの特徴
  • 判別した種類と、その判断理由

同じ場所で時期を変えて調べたり、前年の記録と比較したりすることで、セミの発生時期や種類の構成がどのように変わるかを考察できます。

【保存・保管ガイド】セミの抜け殻をきれいに残す方法

採集するなら羽化が終わった抜け殻を選ぶ

セミの抜け殻は、成虫が飛び立った後であれば比較的簡単に採集できます。ただし、羽化の途中にある個体や、まだ生きている幼虫が付いている殻は触らないようにしましょう。

抜け殻は乾燥しているように見えても、脚や触角などの細かな部分が壊れやすい構造です。特にアブラゼミとミンミンゼミの識別に使う触角は、無理に引っ張ると簡単に折れてしまいます。

採集するときは、胴体を強くつま最初に、殻の丈夫な部分をそっと扱います。木に強く固定されている場合は、無理に引き剥がさない判断も必要です。

家庭でできる基本的な保存方法

セミの抜け殻を家庭で保存する場合、特別な薬品や複雑な標本作製の工程は必要ありません。形を崩さず、湿気や衝撃から守ることが基本です。

  1. 状態を確認する:脚や触角が残っているか、泥や汚れがどの程度付いているかを確認する。
  2. 十分に乾燥させる:湿り気がある場合は、直射日光を避けた風通しのよい場所で乾かす。
  3. 保管ケースに入れる:小さな透明ケースや硬い紙箱など、外からの圧力を受けにくい容器を用意する。
  4. 緩衝材を使う:ティッシュペーパーなどを使い、容器の中で動いて触角や脚が折れないようにする。
  5. 採集情報を記録する:採集日、場所、植物の種類、推定したセミの種類などをラベルに記載する。

採集したばかりの抜け殻を、湿ったままビニール袋に密閉するのは避けましょう。湿気がこもるとカビが発生する原因になります。

長期保存では湿気・紫外線・害虫に注意

長期間きれいな状態で保管するには、保存場所の環境にも気を配る必要があります。

  • 湿気を避ける:カビや劣化を防ぐため、乾燥した場所で保管する。
  • 直射日光を避ける:紫外線による色あせや劣化を抑える。
  • 高温を避ける:温度変化の大きい場所や夏場の車内などに放置しない。
  • 害虫を防ぐ:ケースを清潔に保ち、定期的に状態を確認する。
  • 衝撃を防ぐ:脚や触角が折れないよう、容器の中で固定する。

博物館の昆虫標本の管理でも、湿度やカビ、紫外線、高温などへの対策が重視されています。家庭で保管する場合も、乾燥した涼しい場所で、直射日光を避けることが基本です。

泥が付いた抜け殻は無理に洗わない

ニイニイゼミの抜け殻など、体全体に泥が付着しているものは、きれいにしようとして水洗いしたくなる可能性があります。

しかし、強くこすると脚や触角が折れたり、殻そのものが破損したりする可能性があります。種類を見分けるための特徴まで失われてしまうこともあります。

泥を取り除きたい場合は、まず乾いた状態で柔らかい筆などを使い、表面の汚れを少しずつ落とす程度にとどめましょう。無理に完全な状態に戻そうとする必要はありません。

保存するなら採集情報も一緒に残す

抜け殻の価値は、形を残すことだけではありません。どこで、いつ、どのような環境で見つかったかという情報も、自然観察の資料として重要です。

例えば、同じアブラゼミの抜け殻でも、住宅地の庭で見つかったものと、山林の中で見つかったものでは、観察できる環境が異なります。

採集情報を一緒に保存しておけば、後から種類を調べ直したり、別の年の観察結果と比較したりできます。自由研究や昆虫観察の記録として残す場合は、写真も併せて保存すると便利です。

【プロの結論】セミの抜け殻は夏の自然環境を読み解く貴重な手掛かり

見た目だけで種類を決めないことが重要

セミの抜け殻を観察するうえで、最も大切なのは、複数の特徴を組み合わせて種類を判断することです。

アブラゼミとミンミンゼミは大きさや全体の形がよく似ています。色だけで判別しようとすると、個体差や乾燥状態によって間違える可能性があります。

一方、触角の節の長さや毛の量を確認すれば、判別の精度を高められます。クマゼミなら大きさと触角の節数、ニイニイゼミなら小ささと泥の付着が有力な判断材料です。

抜け殻の数から分かることは何か

同じ地域で複数の抜け殻を調べると、どの種類が多いのか、どの場所で羽化が多いのかを比較できます。

例えば、木の種類や日当たりの違いによって、見つかる種類や数に違いが生じることがあります。また、毎年同じ場所を調査すれば、発生する種類の変化を記録することも可能です。

ただし、見つかった抜け殻の数が、その地域に生息するセミの総数をそのまま表すわけではありません。抜け殻が落ちてしまったり、高い場所に残っていたりするほか、観察者が確認できる範囲にも限界があるためです。

調査結果を比較する際には、同じ面積、同じ時間、同じ観察方法をできるだけ維持することが大切です。

よくある誤解を正しく理解する

セミの抜け殻については、いくつか誤解されやすい点があります。

  • 「セミは必ず7年間土の中にいる」:種類によって幼虫期間は異なり、日本のセミすべてに当てはまる話ではない。
  • 「抜け殻はさなぎの殻である」:セミにはさなぎの段階がなく、抜け殻は幼虫が最後の脱皮をしたときの外骨格である。
  • 「大きさだけで種類が分かる」:似た大きさの種類もあるため、触角など細部の観察が必要である。
  • 「木の幹にしか付かない」:葉の裏や草、建物など、さまざまな場所で見つかる。
  • 「羽化直後から飛べる」:羽化後は体や翅が硬くなるまで時間が必要で、すぐには飛び立たない。

こうした誤解を整理すると、抜け殻は単なる夏の飾りではなく、昆虫の成長や地域の自然環境を学ぶための観察資料であることが分かります。

観察に向いている人・気を付けたい人

セミの抜け殻の観察は、昆虫に詳しくない人でも始めやすい自然観察です。特別な道具がなくても、目視とスマートフォンの撮影機能があれば、基本的な記録を残せます。

特に、夏休みの自由研究をしたい子どもや、身近な自然の変化に興味がある人、昆虫の種類を識別することが好きな人に向いています。

一方、夜間の観察では暗い場所を歩くことになるため、安全管理が必要です。また、羽化中の個体に触れたり、採集禁止の場所で抜け殻を持ち帰ったりする行為は避けましょう。

観察するだけでも十分に多くの発見があります。無理に採集することよりも、自然の状態を保ちながら記録することを優先するのがおすすめです。

【セミの抜け殻】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:セミの抜け殻はいつごろ見つかりますか?
A1:日本では主に6月から9月ごろに見つかります。特に7月から8月は多くの種類が羽化するため、観察しやすい時期です。ただし、地域や種類によって発生時期は異なります。

Q2:セミの抜け殻から種類を見分けることはできますか?
A2:できます。アブラゼミは触角の第3節が第2節より長く毛が多いのに対し、ミンミンゼミは第2節と第3節がほぼ同じ長さで毛が少ない特徴があります。クマゼミは大きく触角が8節、ニイニイゼミは小さく泥が付いていることが目印です。

Q3:セミの抜け殻はどこで探せばよいですか?
A3:公園、神社、庭、雑木林など、木や草が多い場所がおすすめです。木の幹だけでなく、葉の裏、低木、枝、フェンスなども確認しましょう。特に抜け殻が複数見つかる木の周辺は、観察場所の候補になります。

Q4:セミの抜け殻を家で保存できますか?
A4:できます。湿り気がある場合は十分に乾燥させ、透明ケースや硬い紙箱に入れて保管します。触角や脚が折れないように緩衝材を使い、湿気や直射日光を避けてください。採集した日付や場所も記録しておくと、観察資料として役立ちます。

Q5:セミの抜け殻に付いている白い糸のようなものは何ですか?
A5:白い糸の正体は、昆虫の呼吸器官である気管の内側が脱皮によって残ったものです。札幌市博物館活動センターの観察解説でも、抜け殻の内部に見られる白い糸状の構造が気管に由来することが紹介されています。カビとは異なる構造です。

Q6:セミの抜け殻はオスとメスを見分けられますか?
A6:見分けられる場合があります。抜け殻の腹側の先端付近を確認すると、メスには幼虫時代から産卵管に関係する構造があるため、オスと区別する手掛かりになります。細部の観察にはルーペが便利です。

まとめ:セミの抜け殻を観察して夏の自然をもっと楽しもう

セミの抜け殻は、幼虫が成虫になる最後の脱皮によって残された外骨格です。その形には、長い地中生活を経て成虫へと成長したセミの記録が刻まれています。

アブラゼミ、ミンミンゼミ、クマゼミ、ニイニイゼミなどは、抜け殻の大きさや触角、毛の量、泥の付着状態などから見分けられます。特に似ているアブラゼミとミンミンゼミは、触角の第2節と第3節の長さを比較することがポイントです。

観察する時期は6月から9月ごろが中心で、木の幹だけでなく葉の裏や低木、人工物なども探してみましょう。羽化の様子を観察する場合は、夕方から夜にかけてが狙い目です。

保存する場合は、抜け殻を壊さないように扱い、十分に乾燥させてから湿気や紫外線を避けて保管します。発見した場所や日付、種類の特徴を記録すれば、自由研究や継続的な自然観察にも活用できます。

2026年の夏に環境省が紹介した羽化の記録が示すように、普段は見過ごしがちな抜け殻の一つにも、生命が成長する過程が残されています。次に公園や庭先でセミの抜け殻を見つけたときは、ぜひ触角や脚、体の形までじっくり観察してみてください。小さな殻から、身近な自然の奥深さが見えてくるはずです。

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御厨 美冬

スポーツ担当として7年以上の取材経験。sports領域の公式発表・配信元の告知を一次情報として確認し、確認できない情報は記事に含めない方針です。

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