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【使用曲と振付師】坂本花織の最後のSPを彩った「Time To Say Goodbye」

穂積 美咲 穂積 美咲 • 更新: • 公開: • 読了約 17 分
目次

2025-2026シーズンのショートプログラムに採用された「Time To Say Goodbye」は、サラ・ブライトマンとアンドレア・ボチェッリによる歌唱で知られる楽曲です。

このプログラムの振付を担当したのは、フランス出身の振付師ブノワ・リショー。坂本選手の歴代プログラムにも関わってきた振付師の一人です。

今回の選曲には、単なる音楽的な美しさ以上の背景があります。

2025年11月7日のNHK杯で、坂本選手は楽曲の選定について次のように説明しました。

「振付師のブノワ・リショーがこの音楽を選んでくれました。」

「これは私にとって最後のシーズンであると彼に伝えました。彼は、これがアスリートとしての最後のシーズンかもしれないけれど、次のキャリアへの第一歩でもあると考えてくれました。」

出典:国際スケート連盟(ISU)2025年11月7日付NHK杯レポート

この言葉から伝わるのは、引退を単なる終わりとして捉えない二人の考え方です。

「Goodbye」という言葉には別れの意味があります。しかし、坂本選手の場合、それは約20年にわたるスケート人生を振り返り、新しい人生へ進むための区切りでもありました。

NHK杯で見せたプログラムの完成度

2025年11月のNHK杯では、77.05点を獲得してショートプログラム首位に立ちました。

ISUの大会レポートによると、演技では次の要素が注目されました。

- トリプルルッツ
- トリプルフリップ+トリプルトウループのコンビネーション
- 高難度のスピン
- 最後のレイバックスピン

演技終了後には観客からスタンディングオベーションが送られました。

力強いジャンプだけでなく、楽曲の流れを生かした滑りとスピンまで含めて、一つの作品として見せる構成が特徴です。

【2026年の公式得点】五輪77.23点、世界選手権79.31点の内訳

坂本花織ショート

坂本選手の2025-2026シーズンを振り返るうえで、特に重要なのがミラノ・コルティナ五輪と2026年世界選手権の公式得点です。

ミラノ・コルティナ五輪の女子ショートは77.23点

2026年2月17日に行われた女子シングル個人戦のショートプログラムで、坂本選手は77.23点を獲得しました。

順位は2位。日本の中井亜美選手が78.71点で首位に立ち、坂本選手はフリーへ進みました。

ISU公式結果の内訳は次のとおりです。

- 技術点(TES):40.08点
- 演技構成点(PCS):37.15点
- 減点:0点
- 合計:77.23点

演技構成点の内訳は、Composition(構成)9.25点、Presentation(表現)9.29点、Skating Skills(スケーティング技術)9.39点でした。

技術面だけでなく、演技全体の完成度に対しても高い評価を得ています。

2026年世界選手権では79.31点でSP首位

2026年3月25日、チェコ・プラハで開催された世界選手権の女子ショートプログラムでは、坂本選手が79.31点を記録しました。

この時点で首位に立ち、フリーでも1位となって優勝を決めています。

得点の詳細は以下のとおりです。

- 技術点(TES):41.42点
- 演技構成点(PCS):37.89点
- 減点:0点
- 合計:79.31点

演技構成点は、構成9.46点、表現9.46点、スケーティング技術9.57点でした。

五輪の個人戦SPと比べると、合計点は2.08点上昇しています。技術点が1.34点、演技構成点が0.74点伸びており、両面で評価を高めました。

五輪と世界選手権の得点比較

項目 2026年五輪個人戦 2026年世界選手権
SP順位 2位 1位
合計得点 77.23点 79.31点
技術点(TES) 40.08点 41.42点
演技構成点(PCS) 37.15点 37.89点
構成 9.25点 9.46点
表現 9.29点 9.46点
スケーティング技術 9.39点 9.57点
減点 0点 0点

出典:ISU公式大会結果

なお、79.31点は2025-2026シーズンの世界選手権SPで記録した高得点ですが、坂本選手のショートプログラムの自己ベストは80.32点です。これは2022年世界選手権で記録した数字です。

また、五輪の団体戦女子SPでは78.88点を記録しています。個人戦の77.23点とは別の競技結果なので、混同しないようにしたいところです。

【歴代SPの変遷】坂本花織はどんな曲で滑ってきた?

坂本選手の魅力の一つは、シーズンごとに異なる音楽ジャンルへ挑戦してきたことです。

フジテレビのフィギュアスケート公式選手紹介に掲載されたプログラム情報をもとに、歴代ショートプログラムを整理しました。

シーズン ショートプログラム使用曲 振付師
2015-16 マラゲーニャ 川越正大
2016-17 映画『アーティスト』より マッシモ・スカリ
2017-18 月光(ベートーヴェン) ブノワ・リショー
2018-19 From My First Moment デヴィッド・ウィルソン
2019-20 No Roots シェイ=リーン・ボーン
2020-21 バッハ・ア・ラ・ジャズ ブノワ・リショー
2021-22 映画『グラディエーター』より ブノワ・リショー
2022-23 Rock With U/Feedback ロヒーン・ワード
2023-24 Baby, God Bless You ジェフリー・バトル
2024-25 Resurrección del Ángel/La muerte del Ángel ロヒーン・ワード
2025-26 Time To Say Goodbye ブノワ・リショー

出典:フジテレビ「スケート∞リンク」坂本花織選手のプログラム情報

それぞれの時代で変化した表現力

2017-2018シーズン:月光

ベートーヴェンの「月光」を使用したシーズン。クラシック音楽を生かした構成で、ブノワ・リショーとの仕事が歴代プログラムにも見られます。

2020-2021シーズン:バッハ・ア・ラ・ジャズ

クラシック音楽とジャズの要素を取り入れた作品です。音楽のリズムを生かした滑りが求められるプログラムでした。

2021-2022シーズン:グラディエーター

映画音楽を使用した壮大なプログラム。北京五輪シーズンに向けた挑戦の一つであり、力強さを印象づける作品でした。

2022-2023シーズン:Rock With U/Feedback

ジャネット・ジャクソンの楽曲を使用。これまでのクラシックや映画音楽とは異なり、リズム感とキレのある動きを前面に押し出した作品です。

2023-2024シーズン:Baby, God Bless You

清塚信也の楽曲を使用。日本人作曲家の音楽を採用した点も特徴的でした。

2024-2025シーズン:Resurrección del Ángel/La muerte del Ángel

ロヒーン・ワードの振付による、異なる雰囲気を持つ楽曲を組み合わせたプログラムです。

そして最後の2025-2026シーズンには、ブノワ・リショー振付の「Time To Say Goodbye」が選ばれました。

歴代曲を並べると、坂本選手が特定の音楽ジャンルに限定されず、クラシック、ジャズ、ポップス、映画音楽、ボーカル曲まで幅広く表現してきたことが分かります。

【演技構成点を分析】坂本花織のショートが高く評価される理由

ショートプログラムを評価するとき、ジャンプの成功数や技術点だけに注目するのは十分ではありません。

坂本選手の強みを理解するには、演技構成点(PCS)にも目を向ける必要があります。

演技構成点は何を評価するのか

2025-2026シーズンの採点方式では、演技構成点は次の3項目で評価されます。

評価項目 評価のポイント
Composition(構成) プログラム全体の組み立てや要素の配置
Presentation(表現) 音楽との調和、演技の伝達力
Skating Skills(スケーティング技術) エッジワーク、スピード、滑らかさ、コントロール

坂本選手の場合、五輪の個人戦ではスケーティング技術が9.39点、世界選手権では9.57点でした。

特に注目したいのは、技術点だけに依存しない得点構成です。

ジャンプで高い評価を獲得することに加えて、スケートそのものの質や音楽との一体感も評価されています。

「Time To Say Goodbye」で注目したい3つの見どころ

1.大きな滑りとスピード感

坂本選手の持ち味は、リンクを広く使うダイナミックなスケーティングです。スピードを保ちながらジャンプへつなげる動きは、演技全体に迫力を与えます。

2.ジャンプと音楽の調和

トリプルルッツや3回転フリップ+3回転トウループのコンビネーションなど、技術的な要素を音楽の流れに組み込むことが見どころです。

3.スピンを含めた演技の締めくくり

NHK杯では最後のレイバックスピンが印象的でした。プログラムの終盤まで音楽の雰囲気を維持し、最後のポーズまで作品としてまとめる力が光ります。

演技構成点の高さは、こうした要素を総合的に評価した結果として捉えると理解しやすくなります。

【2026年に競技引退】4度目の世界選手権優勝で迎えた最後の舞台

坂本選手は2025-2026シーズンを競技生活最後のシーズンとする意向を示していました。

ISUの選手プロフィールにも、2025-2026シーズン終了後に競技スケートから引退する予定であることが記載されています。

そして2026年3月28日、プラハで開催された世界選手権で、その競技生活に大きな節目を迎えました。

2026年世界選手権で4度目の世界女王

坂本選手はショートプログラムで79.31点を記録して首位に立つと、フリーでも158.97点を獲得しました。

最終結果は次のとおりです。

- ショートプログラム:79.31点
- フリースケーティング:158.97点
- 総合得点:238.28点
- 最終順位:1位

総合238.28点は自己ベストを更新する数字でした。

世界選手権の女子シングルでは、2022年、2023年、2024年に続く4度目の優勝です。2025年は2位だったため、4連覇ではなく通算4度目のタイトルとなります。

ISUは2026年3月28日付の公式記事で、この優勝を坂本選手の競技生活を締めくくる金メダルとして紹介しました。

最後の演技で語った思い

世界選手権のフリーでは、エディット・ピアフの楽曲を使用したプログラムを披露しました。

ISUの公式レポートでは、坂本選手の次の言葉が紹介されています。

「There are no regrets at all, I can say goodbye with this performance.」

日本語にすれば、「全く後悔はありません。この演技をもって別れを告げることができます」という意味です。

ショートの「Time To Say Goodbye」と、フリーの最後を飾った「Non, je ne regrette rien(私は後悔しない)」。

それぞれの楽曲が、競技人生の最後を異なる角度から表現していたことが印象的です。

五輪では女子シングル個人戦2位、世界選手権では優勝。最後のシーズンに主要大会で結果を残し、自身のキャリアを世界選手権4度の金メダルという実績で締めくくりました。

【プロの結論】坂本花織のショートは得点だけでなく物語にも注目

坂本花織選手の「Time To Say Goodbye」は、単に有名な歌曲を使用したプログラムではありません。

ブノワ・リショーが選曲し、坂本選手の競技生活最後のシーズンという背景を踏まえて作られた作品です。

その意味で、今回のショートプログラムを理解するには、次の3つの視点が役立ちます。

第一に、得点は技術点と演技構成点の両方を見ること。

77.23点や79.31点という合計点だけでは、演技の特徴までは分かりません。TESとPCSを分けて確認すると、坂本選手の技術面と表現面の強さをより具体的に理解できます。

第二に、シーズンごとのプログラムの変化を比較すること。

「Rock With U」のようなリズミカルな作品と「Time To Say Goodbye」のような壮大な歌曲を比較すると、同じ選手が異なる音楽をどう表現してきたかが見えてきます。

第三に、ショートとフリーを別々の作品として捉えること。

2025-2026シーズンは、ショートが「Time To Say Goodbye」、フリーがエディット・ピアフの楽曲を中心とした構成でした。両方を通して見ることで、最後のシーズンに込められた物語をより深く味わえます。

坂本選手の演技を振り返るなら、順位やメダルの数だけではなく、音楽の選択、振付、滑りの質まで含めて評価することが大切です。

【よくある質問】坂本花織のショートプログラムに関するFAQ

Q1:坂本花織の2025-2026シーズンのショートの曲名は?

A1:サラ・ブライトマンとアンドレア・ボチェッリが歌う「Time To Say Goodbye」です。振付はブノワ・リショーが担当しました。

Q2:坂本花織のショートプログラムの振付師は誰?

A2:2025-2026シーズンはブノワ・リショーです。2024-2025シーズンはロヒーン・ワード、2023-2024シーズンはジェフリー・バトルが担当していました。

Q3:ミラノ・コルティナ五輪のショートプログラムは何点だった?

A3:2026年2月17日の女子シングル個人戦で77.23点を獲得し、2位でした。

Q4:2026年世界選手権のショートプログラムは何点?

A4:79.31点です。技術点41.42点、演技構成点37.89点で、ショートプログラム1位でした。

Q5:79.31点は坂本花織のショートの自己ベスト?

A5:いいえ。ISU公式プロフィールに掲載されているSP自己ベストは80.32点で、2022年世界選手権で記録しました。

Q6:坂本花織は2026年に競技引退した?

A6:はい。2025-2026シーズンを競技生活最後のシーズンとする意向を示しており、2026年3月の世界選手権を最後に競技生活を締めくくりました。

まとめ:坂本花織の最後のショートが残したもの

2025-2026シーズンの坂本花織選手のショートプログラムは、「Time To Say Goodbye」とブノワ・リショーの振付によって完成した、競技人生の集大成を象徴する作品でした。

ミラノ・コルティナ五輪では77.23点、2026年世界選手権では79.31点を獲得。世界選手権ではフリーでも自己ベストを更新し、通算4度目の優勝を果たしました。

歴代のショートプログラムを振り返ると、クラシック、ジャズ、ポップス、映画音楽と、さまざまなジャンルに挑戦してきた歩みも見えてきます。

「Time To Say Goodbye」は、長年の競技生活に別れを告げる楽曲であると同時に、次のキャリアへ踏み出すための一曲でもありました。

2026年の競技引退後も、坂本花織選手が氷上で見せてきた力強い滑りと豊かな表現力は、フィギュアスケートの歴史に残る大きな足跡です。

主な情報確認資料: ISU公式選手プロフィール、ISU五輪公式採点記録、ISU 2026年世界選手権公式結果、ISU 2025年NHK杯レポート、フジテレビ「スケート∞リンク」の歴代プログラム情報。

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映画・ドラマ担当として5年以上の取材経験。cinema領域の公式発表・配信元の告知を一次情報として確認し、確認できない情報は記事に含めない方針です。

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