神奈川県立平塚中等教育学校は、6年間の一貫教育を通じて学力だけでなく、論理的思考力や表現力、探究する力を育てる公立中高一貫校です。2026年度入試では、募集定員160名に対して志願者566人、受検者547人となり、実質倍率は3.42倍でした。前年度の3.80倍から低下したものの、160名の枠をめぐって高い競争が続いています。
2026年11月現在、受検を検討する家庭が押さえたいのは、2027年度入試の日程、適性検査の内容、出願資格、そして卒業生の大学合格実績です。偏差値だけでは判断できない入試の難しさや、東京大学を含む進学実績、相模原中等教育学校との違い、学校生活や部活動まで、神奈川県教育委員会と学校の公表資料を中心に整理します。
【2026年度入試を検証】志願者566人・受検者547人、実質倍率3.42倍の意味

平塚中等教育学校の入試難易度を把握するうえで、最初に確認したいのが2026年度の志願者数と受検者数です。
神奈川県教育委員会が2026年2月3日に公表した「令和8年度神奈川県立中等教育学校の入学者の募集に係る受検者数集計結果」によると、平塚中等教育学校の募集定員は160名、志願者数は566人、受検者数は547人でした。
その後、2月10日に発表された合格者数集計結果では、合格者は予定どおり160人。受検者数を合格者数で割ると、実質倍率は3.42倍となります。
2026年度の入試結果を数字で整理
募集定員160人
志願者数566人
受検者数547人
合格者数160人
実質倍率(受検者数÷合格者数)
3.42倍
志願時点の倍率は3.54倍。実際に検査を受けた人数で計算すると3.42倍。
志願倍率3.54倍と実質倍率3.42倍は何が違う?
受検を考える家庭が混同しやすいのが、志願倍率と実質倍率です。
2026年度は、566人が志願したものの、当日の取消・欠席者が19人いました。そのため、志願者数を基準にした倍率は3.54倍、実際の受検者547人を基準にした倍率は3.42倍となっています。
受検倍率を使って難易度を比較する場合には、分母が合格者数なのか募集定員なのかも確認する必要があります。平塚中等の場合、合格者数と募集定員がともに160人なので、どちらで割っても同じ結果になります。
前年度との比較では倍率が低下
2025年度の受検者数は608人、実質倍率は3.80倍でした。2026年度は受検者が61人減り、倍率も0.38ポイント低下しています。
ただし、倍率が下がったからといって、合格しやすい学校になったと判断するのは早計です。547人が160人の枠を争う構図は変わらず、受検者の約3人に1人弱しか合格できない計算です。
倍率はその年度の競争状況を表す数字であり、個々の受検者に必要な学力や適性を直接示すものではありません。
【偏差値だけでは見えない難易度】平塚中等教育学校の適性検査対策
平塚中等教育学校の受検を考える際、検索されることが多いのが偏差値です。
民間の中学受験情報では、2026年度の四谷大塚の80%合格可能性ラインの目安として57、50%ラインとして53、首都圏模試センターでは65という数値が紹介されています。ただし、これらは各模試の受験者層や判定方法に基づく参考値であり、学校が公式に定めた偏差値ではありません。
神奈川県立平塚中等教育学校の偏差値を見るときの注意点
偏差値は、模試の母集団や出題形式によって変わります。四谷大塚と首都圏模試の数値をそのまま比較して、どちらが正しいと判断することはできません。
加えて、平塚中等教育学校は一般的な私立中学校の4教科型入試とは異なり、適性検査によって選考を行います。
したがって、国語・算数・理科・社会の知識量だけでなく、複数の資料を読み解く力、条件を整理する力、筋道を立てて考える力、自分の考えを文章にする力が大切です。
2026年度の適性検査から見える出題傾向
2026年2月3日に実施された神奈川県立中等教育学校の適性検査について、神奈川県教育委員会は問題と「出題のねらい」を公表しています。
その内容を見ると、単純な暗記だけでは対応しにくい問題が並んでいます。
適性検査Ⅰの主な出題テーマ
- 昔の通信や電信機を題材にした文章・資料の読解と条件整理
- 国産大豆の収穫量や平均収量に関する計算
- 折り紙を使った図形・面積の問題
- 数字の並べ替えと操作手順の推理
- 学年集会のレクリエーションについて、自分の考えを文章で表現する問題
適性検査Ⅱの主な出題テーマ
- ピクトグラムの特徴や動向についての読解・説明
- 水道料金や機器のグラフを使った数量分析
- 立方体や三角柱を組み合わせた立体図形
- 信号機の時間設定や車の移動に関する条件整理
これらは神奈川県教育委員会の2026年度「適性検査Ⅰ・Ⅱ出題のねらい」に記載された内容です。
合格に近づくための適性検査対策5つ
2026年度の問題から考えると、対策の中心は知識を増やすことだけではありません。与えられた情報を使って考え、答えを導く訓練が必要です。
1. 長文読解を習慣にする
会話文、説明文、図表を組み合わせた問題に慣れ、必要な情報を素早く見つける練習をします。
2. 算数の文章題を強化する
割合、平均、速さ、面積、規則性など、条件を整理して解く問題を重点的に取り組みます。
3. グラフ・統計資料を読み取る
数値の変化や複数の資料の関係を読み取り、根拠を持って判断できるようにします。
4. 記述問題の練習を続ける
自分の考えを結論、理由、具体的な根拠の順にまとめる練習が有効です。
5. 過去問を時間を計って解く
正答率だけでなく、時間配分や問題を読み違えた原因まで振り返ります。
特に重要なのは、解説を読んで理解したつもりになるのではなく、初めて見る資料や条件に対して、自分で解答を組み立てられるかどうかです。
【2027年度入試を完全整理】出願日程・募集定員160名・出願資格
2027年度、つまり令和9年度の平塚中等教育学校入試については、神奈川県教育委員会が2026年5月に主要日程を公表し、7月には詳細な実施要領を発表しています。
募集定員は前年と同じ160名です。出願方法はウェブサイト上での志願手続と必要書類の郵送を組み合わせる方式で、適性検査は2027年2月3日に実施されます。
2027年度入試の日程一覧
2026年11月上旬頃
志願に関する説明動画・受検案内の公開予定
2026年12月7日~28日
志願資格の承認申請期間(該当者のみ)
2026年12月21日~2027年1月4日
ウェブ出願期間
2027年1月5日~7日
入学願書・調査書などの提出期間。期間内の消印有効
2027年2月3日(水)
適性検査Ⅰ・Ⅱ
2027年2月10日(水)
合格発表
神奈川県教育委員会の令和9年度実施要領に基づく日程。
2027年度の適性検査は2科目・各45分
2027年度の実施要領では、適性検査Ⅰと適性検査Ⅱが予定されています。
検査当日の時間は次のとおりです。
- 集合時刻:午前9時
- 検査についての注意:9時15分~9時35分
- 適性検査Ⅰ:9時35分~10時20分
- 休憩時間:10時20分~10時55分
- 適性検査Ⅱ:10時55分~11時40分
- 諸連絡:11時40分~12時
検査時間はそれぞれ45分です。なお、受検会場や解散予定時刻は志願先の中等教育学校から通知されます。
合否は適性検査だけで決まるわけではない
見落としやすいのが、調査書も選考に使用される点です。
2027年度の実施要領では、適性検査の結果と志願者が提出する調査書を用いて総合的に選考し、選考結果が上位の160人を合格者とすると定められています。
したがって、適性検査の得点だけを意識するのではなく、小学校での学習や日頃の取り組みも含めて準備することが大切です。なお、選考における具体的な配点比率を自己判断で決めつけることはできません。
出願資格と通学区域はどうなっている?
2027年度の志願資格には、次の条件があります。
- 原則として2014年4月2日から2015年4月1日までに出生していること。
- 2027年3月31日までに小学校などの課程を卒業・修了する見込みであること。
- 志願者本人と保護者が神奈川県内に住所を有していること。
県外から神奈川県内への転居を予定している場合など、特別な事情がある家庭は、教育長による志願資格の承認が必要になる場合があります。
また、県立平塚中等教育学校と県立相模原中等教育学校のうち、志願できるのはどちらか1校です。他の公立中等教育学校などへの重複志願も認められていません。
このため、平塚市や周辺市町村だけに限定した一般的な学校区とは異なり、県内住所を基本とした志願資格の制度です。実際の通学可能性は、自宅から学校までの交通手段や所要時間も含めて検討する必要があります。
【学校生活・特色・評判】6年間で育てる力と部活動の実態
平塚中等教育学校の魅力は、大学受験に向けた学力形成だけではありません。学校が掲げる教育の特色は、6年間を見通したカリキュラムと、社会に出てからも必要となる能力の育成です。
3つの教育段階で成長を支える
学校の教育活動は、6年間を次の3つの段階に分けて構成されています。
- 基礎・観察期(1・2年):学習の基礎を身につけ、身近な事象を観察する。
- 充実・発見期(3・4年):学びを深め、興味や関心を広げる。
- 発展・伸長期(5・6年):専門的な学習や進路選択につなげる。
学校が育成を目指す力は、「表現コミュニケーション力」「科学・論理的思考力」「社会生活実践力」の3つです。
前期課程では国語・数学・英語を基本的に毎日学習し、後期課程は単位制を採用。5・6年では進路や興味関心に応じた選択科目が増える仕組みです。
探究学習とキャリア教育にも力を入れる
平塚中等教育学校の特徴として見逃せないのが、実社会と結びついた学習です。
「かながわ探究」では、学年に応じて第一次産業、第二次産業、第三次産業の現場を訪問します。農業や漁業、ものづくり、サービス業などについて、実際に働く人たちや現場に触れながら学びます。
加えて、4年次には分野別説明会や勉強合宿、大学教授による講座などが設けられ、4・5年次の課題研究、6年次の卒業研究へと学びを発展させます。
単に大学合格を目標にするのではなく、自分が何を学び、将来どのような仕事に関わりたいのかを考える機会が用意されています。
部活動は22団体。学校行事も充実
学校公式サイトによると、2026年度は22の部活動・同好会が活動しています。
また、学校生活を彩る主な行事には「翠星祭」と合唱祭があります。
- 翠星祭・体育部門:5月、1~6年生が参加
- 翠星祭・文化部門:10月、1~5年生が参加
- 合唱祭:12月、ひらしん平塚文化芸術ホールで開催
6年間を通じて、異なる学年の生徒が関わる機会があることも、中等教育学校ならではの特色です。
図書館には約34,000冊の図書があり、他の県立学校や県立図書館との連携も行われています。
学校生活を支えるスチューデント・メンター制度
中学受験を経て入学したばかりの1年生にとって、広い地域から集まった生徒との新しい学校生活は大きな変化です。
同校には、後期課程の生徒が1年生の学校生活を支援するスチューデント・メンター制度があります。先輩が新入生をサポートする仕組みで、学校生活への適応を助ける役割を担っています。
また、スクールカウンセラーによる生徒・保護者の相談体制や、計画的な面談も設けられています。1年生は1クラス32名で、学習と生活の両面を支援する体制が整えられています。
平塚中等教育学校の評判・口コミはどう判断する?
学校の評判を調べる際は、口コミサイトの評価点だけで判断しないことが大切です。
中高一貫校では、学習の進度、課題への取り組み方、学校行事、部活動、通学時間など、家庭によって評価が分かれるポイントが多くあります。
平塚中等教育学校については、公式資料から探究学習、6年間の教育課程、22の部活動・同好会、メンター制度などの特徴を確認できます。一方、こうした制度がすべての生徒に同じ満足度をもたらすわけではありません。
受検前には学校説明会や公開行事で、授業や生徒の活動の様子を確認することが有効です。特に、学習と部活動の両立、課題研究の進め方、学校までの通学時間は、入学後の生活を左右する具体的な判断材料になります。
【大学合格実績2026】東京大学5人!国公立・早慶上理の実績を分析
平塚中等教育学校を検討する家庭にとって、6年間の教育が大学進学にどうつながるのかは重要な関心事です。
同校は公式サイトの進路情報で、2026年度入試の合格一覧と過去12年間の大学合格一覧を公開しています。
2026年度の12期生の実績では、東京大学をはじめ、東京科学大学、横浜国立大学、早稲田大学、慶應義塾大学などへの合格が確認できます。
2026年度の主な大学合格実績
学校公式の「令和8年度入試合格一覧」から、主な実績を整理します。
東京大学5人
東京科学大学4人
国公立大学合計40人
私立大学合計428人
学校公表の2026年度入試合格一覧。国公立・私立の合計には既卒生の実績も含まれます。
東京大学は文科一類、文科二類、文科三類、理科一類に合格者が出ており、合計5人です。
また、東京科学大学4人、横浜国立大学5人など、理工系や地域の国公立大学にも合格者がいます。
私立大学では、早稲田大学27人、慶應義塾大学18人、東京理科大学22人などの実績が確認できます。
東京大学の合格実績は一時的なものなのか?
2026年度の東京大学合格者数だけを取り上げて、学校の進学指導全体を評価するのは適切ではありません。
学校が公開する過去12年間の合格一覧を見ると、東京大学の合格者は2015年度から2026年度まで継続的に確認できます。
例えば、2024年度は6人、2025年度は3人、2026年度は5人でした。年度ごとに変動はありますが、複数年度にわたって合格者を送り出している点は注目できます。
大学合格者数は延べ人数と進学者数を区別する
大学合格実績を見るときに気をつけたいのが、合格者数と実際の進学者数の違いです。
一人の生徒が複数の大学・学部に合格した場合、それぞれが合格者数として計上されます。そのため、国公立大学40人、私立大学428人という数字を、実際に進学した生徒数と混同してはいけません。
学校公式の一覧には「12期生」「既卒生」「計」「12期進学」という区分があります。現役生の合格実績を確認したい場合は、既卒生を含む合計だけでなく、各区分も見る必要があります。
また、大学進学実績は、その年の受験生の志望傾向や入試方式によって変わります。2026年度だけでなく、過去12年間の推移を合わせて見ることで、学校の進路指導の特徴を把握しやすくなります。
【平塚中等と相模原中等を比較】2026年度倍率・学校選びの違い
神奈川県の県立中等教育学校を受検する家庭が比較対象にすることが多いのが、神奈川県立相模原中等教育学校です。
両校はともに募集定員160名の公立中高一貫校で、適性検査による選考を行います。ただし、2026年度の受検者数と倍率には差がありました。
2026年度の両校の入試データ比較
神奈川県教育委員会が発表した2026年度の集計結果をもとに、両校の関係を整理します。
2026年度は相模原中等の実質倍率が4.48倍、平塚中等が3.42倍でした。差は1.06ポイントで、相模原中等の競争率が高い結果です。
倍率だけで平塚中等を選ぶべきではない
数字だけを見ると、2026年度は平塚中等のほうが競争率が低く、合格可能性が高そうに見えます。
しかし、両校の問題への対応力や受検者の学力分布まで同じとは限りません。倍率が低い学校を選べば必ず合格しやすいというわけではないのです。
比較するときは、次の3点を優先するとよいでしょう。
- 自宅からの通学時間と交通手段
- 6年間の教育内容や探究学習への関心
- 学校行事や部活動を含めた日々の生活との相性
県立中等教育学校の志願では、平塚と相模原のどちらか1校を選択する必要があります。通学の負担や教育内容を十分に確認したうえで志願先を決めることが大切です。
【平塚中等教育学校の受検・学校生活に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:平塚中等教育学校の2026年度の実質倍率は何倍ですか?
A1:2026年度は募集定員160名に対して受検者547人、合格者160人で、実質倍率は3.42倍でした。志願者数566人を基準にした志願倍率は3.54倍です。
Q2:平塚中等教育学校の偏差値はいくつですか?
A2:2026年度の民間模試データでは、四谷大塚のA80偏差値57、首都圏模試の目安65などが紹介されています。ただし、模試によって母集団や判定基準が違います。公式の偏差値ではなく、適性検査への対応力も含めて判断しましょう。
Q3:2027年度の入試日はいつですか?
A3:適性検査は2027年2月3日(水)、合格発表は2月10日(水)です。ウェブ出願は2026年12月21日から2027年1月4日まで、書類提出は2027年1月5日から7日までです。
Q4:2027年度の募集定員は何人ですか?
A4:160名です。神奈川県立相模原中等教育学校も160名を募集します。
Q5:適性検査ではどのような問題が出ますか?
A5:文章読解、資料分析、割合や平均の計算、図形、条件整理、記述問題などが出題されます。2026年度の問題では、電信機、大豆の収穫量、折り紙、ピクトグラム、水道料金、信号機などが題材になりました。
Q6:東京大学への合格実績はありますか?
A6:あります。学校が公表した2026年度入試合格一覧では東京大学5人です。過去12年間の合格一覧でも複数年度にわたる合格実績が確認できます。
Q7:平塚中等教育学校と相模原中等教育学校は両方受検できますか?
A7:できません。2027年度の募集要領では、県立平塚中等教育学校または県立相模原中等教育学校のいずれか1校を志願する制度になっています。
まとめ:平塚中等教育学校は倍率・教育内容・進学実績を総合的に判断する
神奈川県立平塚中等教育学校は、2026年度入試で志願者566人、受検者547人、実質倍率3.42倍を記録しました。前年度の3.80倍から倍率は低下しましたが、募集定員160名に対する競争は依然として厳しい状況です。
2027年度入試では、2026年12月21日からウェブ出願が始まり、2027年2月3日に適性検査Ⅰ・Ⅱが実施されます。各45分の検査に加えて調査書も選考に使用されるため、過去問演習だけでなく、日頃の学習や資料を読み解く力も意識した準備が必要です。
大学進学実績では、2026年度に東京大学5人、国公立大学40人、私立大学428人という合格実績が公表されています。加えて、6年間の探究学習、キャリア教育、22の部活動・同好会、異学年交流を支えるメンター制度など、学力以外の成長を支える仕組みもあります。
【プロの結論】平塚中等教育学校を選ぶ際に重視したいのは、偏差値や倍率の数字だけではありません。資料を読み解き、自分で考え、表現する学びに魅力を感じるか、6年間の教育方針が子どもの性格や興味に合っているかが重要です。
受検を考えている家庭は、2026年度の公式過去問と出題のねらいを確認し、2027年度の受検案内で最新の出願条件をチェックしてください。学校説明会で教育内容や学校生活を確かめ、通学時間まで含めて検討することが、入学後のミスマッチを防ぐ判断につながります。
倍率に一喜一憂するのではなく、子どもが6年間を通して学び続けられる環境かどうか。その視点こそが、平塚中等教育学校の受検を考えるうえで最も大切です。